バックトゥザフューチャー 映画のここがスゴイ

バックトゥザフューチャーが好きなんです。
ゼメキスのパズルのような伏線と、スピルバーグのパーフェクトなカメラワークと、マイケルのインクレディブル(メチャサイコー)な演技が傑作を生んだ

バックトゥザフューチャーが好きなんです。
もう一度、声を大にして言います。
バックトゥザフューチャーが好きなんです。

私が小学生までに見た映画ベスト3に入っている「バックトゥザフューチャー(Back to the future、略してBTTF)」。もうとんでもなくサイコーにヘビーでパーフェクト(注:主人公マーティーの口グセ)な映画です。テレビで久しぶりにシリーズ3部作全て放映ということで、往年のファンも、初めての方も大いに興奮した放映となりました。

何がそんなにも良いいって?
そりゃモチロン、この映画がとんでもなくサイコーにヘビーでパーフェクトである理由は、ロバート・ゼメキスの緻密に計算されたパズルのような伏線の脚本と、スティーブン・スピルバーグの神がかり的カメラワークと、主人公マーティー役のマイケル・J・フォックスのインクレディブル(incredible、信じられない、が転じてメチャサイコーというスラング。発音はインクララボーに近い。登場人物たちの口ぐせ)な演技と、アラン・シルヴェストリの耳から離れられない興奮と感動の音楽が、もう渾然一体となって一つの大きなカタマリとなっているからなんですね。

これは私の想像ですが、最近のフルCGド派手アクション映画に慣れた若い方にとって、CG映画の先駆けであったこの映画は、映像的には物足りないものだったのかもしれません。が、一方で、昔の映画はこんなにもセリフや言葉遊びを楽しんでいたのか、このような刺激の少ないアクションシーンでも、音楽とストーリーとが一体になれば、こんなにも興奮してのめり込めるのか、と素直に驚かれたかもしれません。

近視で乱視もちで、車に酔いやすい私にとって、最近のフルCGアクション映画の映像は、正直目がもう映像についていけないところがあるのです。そういう意味でこのBTTFはとても目に優しい。30代の私でも、もうこういうアクションで十分、十二分に楽しめると心から思うのです。

映像美、つまりカメラワークでいうと、私は映画「タイタニック」コラムでも申しましたが、私が素晴らしいと思うカメラワークというのは、変に個性的に凝ったカメラワークでないんですね。個性的なカメラは、「俺(カメラ)はすごいんだぞ!」と主張しすぎて、ウルサイ。ストーリーにのめり込めない。これでは素晴らしいカメラとは私は言えないと思うんです。

本当の意味で素晴らしいカメラワークというのは、カメラが完全に観客の「目」となって、観客が見たいと思う映像が縦横無尽に動くカメラのことだと私は思うのです。観客が、人物の表情をよく見たいときにアップ(ズームアップ)になり、全体像を見たいときにあおり(ハイアングル)し、あっちを見たいときにちゃんと切り替え(パン)してくれる。

そういう阿吽の呼吸を無意識にしてくれ、結果、観客がまったく「カメラ」という存在を無視してあたかも本当に自分の目で見ているような、不思議な錯覚を覚えるくらいの「のめり込める」映像。こういう縁の下の力持ち的なカメラこそが、よいカメラワークだと思うのです。

そういう点で、私はキャメロン監督や宮崎駿監督のカメラワークをほめましたが(私がほめなくても世界中の方がほめていますが)、このBTTFのスピルバーク監督もそうなんですよね。カメラワークが神がかりすぎて、とくに彼はハラハラドキドキするサスペンス調のアクションシーンのカメラが本当にうまい。

なんだか、カメラの話ばかりしてしまいましたが、今回の放映で残念だったのが、いくつかありますね。
一つは、皆さんも言っているように完全版でなく、カットシーンがいくつかあること。そして、もう一つはドク役の吹き替え声優さんが故・青野武さんでなかったことなんですよね。

私も青野武さんのあの独特な癖のある声が本当にドクのハマった声で、下手をしたら本人のクリストファー・ロイドよりも似合ってんじゃないかってくらいハマっていましたので、ぜひとも青野さんの声で言ってもらいたかったですよね。

あと、個人的に残念だったのは、悪役のビフの口ぐせ「hello? Anybody home?」が昔の「トントン、モシモーシ、お留守ですかあ?」でなく「聞いてるのか?」みたいな訳だったこと。ここのギャグ的な面白さが半減です。

そして、パート2でマーティーの未来の娘が、マーティー役のマイケルがカツラかぶって女装して2役でやっているのですが、「Mom, is that you?(ママ、ママなの?)」なんていう声が男の裏声なんですね。このセリフ、シリーズ3つを通して要所要所に言われる大事なシーンで、パート2ではさらにコミカルさがアップして笑いを誘うわけで、以前はもちろん三ツ矢さん(マーティー役の声優で一番人気)がいかにも女子的な声を出して日本語吹き替えをしていたのにですね、なぜか今回女の子らしい声になっていて、全然このシーンのおかしみ、というのが伝わってこなかった。そういうような、「ここ、ちゃんと笑うところなのに!」という残念なシーンが以前より多かったように思います。

それにしても、改めてパート2を見ると、1985年にカジノで大儲けして、女をはべらかせている悪役ビフのモデルがトランプ現大統領なわけで…そうなんですよ。知ってましたか?だから、パート2ではマーティーが「YOU’RE FIRED(お前はクビだ、トランプ大統領の某テレビ番組の口ぐせ)」ってなるシーンがあるんですよ。あれはね、だからそういう言葉遊びをしているんですね。つまり、あの「YOU’RE FIRED」っていうのは、ちゃんとトランプ大統領を模したビフがのさばりますよ…っていう暗示、伏線なのですね。非常に凝ったシナリオなのです。

撮影当時(1985年)のマーティー(マイケルJフォックス)&ジェニファー(クラウディア・ウェルズ)と30年後(2015年)の二人。そう、パート2で「30年後の未来」だった2015年ですよ!
17歳のジェニファーが未来の自分を見て、「I’m OLD!!!」と言って気絶する、あの47歳のジェニファーに、クラウディアが現実になっている!という面白みなんです。

あー、まだ語りたいことはたくさん。
たくさんあるので、次回に回したいと思います。
次回は、このコロナの状況で35年ぶりにBTTF映画スタッフ陣が「チャリティーリモート同窓会した!」という話題です。
これをどこのサイトよりも詳しく、熱く語りたいと思います。
お楽しみに!

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この記事を書いた人

玄馬絵美子

玄馬絵美子

薬剤師 / 「陶磁器de読書会」講師
カリーニョを運営する三姉妹の長女。薬局や病院で薬剤師として勤務し、現在子育て中のアラフォー主婦。株式会社アリベでは財務面を担当。カリーニョでは趣味で研究してきた東西の19世紀末~20世紀初頭の文化・様式・芸術の世界を紹介するコラム執筆、読書会を主宰する。
【これまでの実績】
全国のMR経験薬剤師が作る転職応援サイト『MRファーマシスト』にてマネーコラム連載。
新聞の文芸欄掲載多数。