【器×対談 第2回 ヘレンド編(3/3)】ハンドペイントにこだわるヘレンド 秘められた作り手のエネルギー

カリーニョ代表 加納亜美子と、食器業界の方々との対談コラム「器×対談~カリーニョと器を語り継ぐ~」

職人の方はもちろんのこと、製造・販売に携わる方々の息遣いも感じられるリアルな文章で食器の魅力をご紹介したいという想いから、各ブランドのご担当者様にインタビューを行い、その時の様子をコラムに掲載しています。

これまでヘレンド日本総代理店 星商事株式会社 塩谷博子様との対談をご紹介してきましたが、今回が最終話です。

今年はヴィクトリア女王の生誕200周年及び日本・ハンガリー外交関係開設150周年

(加納)――今、ヘレンドが力を入れているシリーズはありますか?

(塩谷さん)「今年がヴィクトリア女王の生誕200周年記念年ということで、その特別記念の制作作品はヴィクトリアシリーズです。現在はミュージアム所蔵となっている作品の復刻作品です。」

(画像:© HOSHI SHOJI LTD.)

「また今年は日本・ハンガリー外交関係開設150周年ということもあり、日本とハンガリーの国とが関わったものを…ハンガリーの国の代表として、大相撲のハンガリー友好杯をヘレンドが担当し、大きなヴィクトリアのカップ&ソーサーが作られました。」

塩谷さんは手仕事がお好き

――最後にヘレンドとは全く関係なく、塩谷さんが思い出として残っている陶磁器のお話をお伺いしてみたいです。

「私は元々、いわゆる土ものの陶器が好きでした。よく(加納さんのお住まいである滋賀県の)信楽焼にも行きましたよ。絵付けでも何でも、自分自身の手で作ったものがとても好きです。」

――陶磁器に関わらず、何か手で作るのが?

「そうです。作るのが好きで刺繍をします。例えば、ヘレンドだったらペインターさんが手描きしますよね。そのような職人さんの筆さばきにはもう見惚れてしまうくらい好きです。そういう意味で、ヘレンドが手仕事を貫いているところが好きです。ですから、なにか陶磁器の思い出というよりも…手で作ることの魅力をお話してしまいました。」

――そのお話を聞いて、塩谷さんは数ある食器メーカー(さん)の中でも、手作りを貫くヘレンドを紹介する星商事さんで、その魅力を十分実感されるお仕事に携われておられて…運命のようですね。

「幸運でした。」

人間の手で作ったものには、その人のエネルギーが秘められている

「ヘレンド社が創業当初から持ち続けている大切にしていること・・・手描きと手造りの大切さを知っているからこそ、それが伝統となり、政治や経済的な歴史の中で幾多の困難な時代を経ても193年間を経て現在まで受け継がれているのです」

――ぜひ今後も貫いてほしいですね。

「やはりそこはしっかりとした意志を持って『守っていくんだ』と決めないと、目まぐるしい時代に翻弄されてしまう。今後ITやAIなどでますます機械化の世の中になっていくと思いますが、人間が進化して違うものにならない限り、手の感覚を使える手仕事を残していって欲しいと願っています。」

――やはり美しいものには、ちゃんと人のエネルギーを感じますものね。

「手で作ったものには、必ずその人のエネルギーが入っていると思っています。食器でも、エネルギーを知らず知らずの内に感じているんだと。」

――それは、本当にわかります!

「お茶の時なども、ティーカップひとつとってみても、手作りのものだとちゃんと淹れてあげたくなる。コーヒーでもそうですけれど、豆から挽いて淹れたくなります。高い紅茶の茶葉とかという意味でなく、丁寧に淹れた紅茶を飲みたくなる。価格は確かにマスプロ(※)ではありませんから、決して安価ではありません。しかし、工賃や人件費が載っている分、その人のエネルギーも器には載っているのだ、と思っていただければ嬉しいです。」

※マスプロ…mass productionマスプロダクション、大量生産の意味

――本当におっしゃる通りで、高価だから躊躇して買わないのではなくて、値段がネックで買えないのなら、貸すからまずは触って!てすごく思うのですよ。なぜなら触れてみると、本当にその良さというのを感じるのです。それはもうエネルギーなんですよね。

今日、お話を伺ってますますヘレンドの食器をいろんな方に使っていただきたいなと思いました。

今回の塩谷さんのお話がとっても面白かったので(笑)、また塩谷さんとも一緒にお仕事させていただきたいです。

「加納さんには勢いがあるとは知っていましたが、カリーニョを三姉妹が運営していたんですね。しかもお姉さんも2人とも全然違う個性をお持ちなのですね。これからこの事業が発展してゆくことを期待しております。」

――ぜひその期待に応えたいです!どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました。

(終わり)

取材協力:
ヘレンド日本総代理店 星商事株式会社
http://www.herend.co.jp/

<器×対談>第2回ヘレンド編(全3回

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この記事を書いた人

加納亜美子

西洋磁器史研究家 / 料理研究家
「カリーニョ」代表。カリーニョを運営する三姉妹の末っ子。

幼少の頃から洋食器コレクターの父親の影響を受け、食器の持つバックストーリーに興味を持ち、文系塾講師、洋食器輸入会社で勤務後、2016年1月~会員制料理教室「一期会」、2019年1月~高級食器リングサービス「カリーニョ」の運営を始める。
曾祖母は赤絵付けの原料となるベンガラ作りに関わっていたルーツを持つ。