ウェッジウッドの歴史を紐解くシリーズ②フロッグ・サーヴィス

ジョサイアが制作したクィーンズ・ウェアの「集大成」

前回のコラムで、「クィーンズ・ウェアの成功により、ジョサイアの名はヨーロッパ中に広がり、各国の王侯貴族らの指名を受けるようになりました。」ということをご紹介しました。

https://carino.jp/seriesww1/

当時、ウェッジウッドに注文をした他国で有名な人物のひとりが、ロシアの女帝エカテリーナ2世です。

エカテリーナ2世は、ロシア・ロマノフ王朝の黄金時代を築いた非常に豪傑な女帝でした。同時に美術工芸品にも造詣が深く、サンクトペテルブルグにあるエルミタージュ美術館を建設したことで大変有名です。

彼女は、チェスメンスキー宮殿用に50人分のディナーセットをウェッジウッドに注文しました。これが今回のテーマとなる「フロッグ・サーヴィス」です。

アミーゴ先生

なぜ「フロッグ(蛙)」という名がつけられているのでしょうか?

それは、チェスメンスキー宮殿には蛙がたくさんいる沼があり、「蛙の宮殿」の愛称で親しまれていたことに由来しています。このため、フロッグ・サーヴィスには蛙の紋章が描かれているのですね。

ちなみに食器の場合、シリーズ名につく「サーヴィス」は「セット(主にディナーセット)」という意味で使われています。

「フロッグ・サーヴィス」と名付けられたこのディナーセットは、952点で構成されています。

その全てに異なるイギリス各地の古城や修道院、住宅や庭園などのさまざまな風景がとても精緻な細密画で描かれています。驚くべきことに、ウェッジウッドは3年かかるといわれていたのを、なんとたった1年で完成させたのです。

驚くのはそれだけではありません。
ジョサイアは、フロッグ・サーヴィスに対し、利益がほとんど出ない、むしろ人件費を考えると赤字になるような値段をつけて(販売価格2700ポンドに対して、原価は2612ポンド)販売したのです。

なぜ、ジョサイアと共同経営者のベントレーはそんな値段をつけたのでしょうか。

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この記事を書いた人

加納亜美子

西洋磁器史研究家 / 料理研究家
「カリーニョ」代表。カリーニョを運営する三姉妹の末っ子。

幼少の頃から洋食器コレクターの父親の影響を受け、食器の持つバックストーリーに興味を持ち、文系塾講師、洋食器輸入会社で勤務後、2016年1月~会員制料理教室「一期会」、2019年1月~高級食器リングサービス「カリーニョ」の運営を始める。
曾祖母は赤絵付けの原料となるベンガラ作りに関わっていたルーツを持つ。