陶磁器de読書会『ジキル博士とハイド氏』の様子を紹介します

5月15日、陶磁器de読書会スティーブンソン『ジキル博士とハイド氏』@岡山(ポートベロ)が開催されました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、やむを得ずオンライン講座となった今回の講座。しかし、そのおかげか、初めて県外からの参加者も加わったのが大きな変化です。初めてのオンライン講座、私は内心とてもドキドキしながらの解説でしたが、皆さまの温かいツッコミ(!)のおかげで、今回も楽しく大いに盛り上がった読書会となりました。

これは前回の読書会の様子。いつもの対面式はこんな感じです、
従来型の再開を希望しつつ…。

テキストは新潮文庫の田口俊樹新訳でした。
新訳では、題辞・献辞が記されているのですね。他の文庫本では見られなかったので、今回新潮文庫をチョイスしました。が、うーん、まあ確かに新訳となって、「葡萄酒(ぶどうしゅ)」が「ワイン」になってたりと現代仕様になっていはいるのですが、「デモンとピシアス」という作中では重要な比喩表現や、その他にも田中西二郎さんの新潮文庫旧訳版の方が優れた訳だった部分がありましたので、(しかも物語の肝となる重要な部分で)一部私が大学時代に読みました田中旧訳を採用しました。

今回の読書会では、物語の読解以上に、『ジキル博士とハイド氏』のジャンルである「ゴシック小説」の誕生の謎を丁寧に説明しました。

なぜ、ゴシック小説(怪奇小説)は建築の「ゴシック」というのか?
なぜ、スポード窯のブルーイタリアンはあのような絵柄なのか?
そこから紐解くゴシックリバイバル文化を深く掘り下げていくことが出来ました。

そして何より、読書会のメインである物語の読解では、一般的には「善と悪の心の葛藤」がテーマとされている『ジキル博士とハイド氏』が、実はもっと違うテーマ性を持っていたことがよくご理解いただけたかと思います。

そこには旧約聖書の根源的なテーマが横たわっており(原作ではhard low of lifeという部分です。新潮文庫新訳の田口訳はこのlowを「法則」と訳しているため、残念ながらこの最も重要な語句の大切さが伝わってきていません。旧訳の田中訳のように「人生の過酷極まる”掟”」と訳するべきでした)、冒頭からラストまで旧約聖書の比喩表現が意図的に使用されている作者スティーブンソンの作品構成力のすばらしさを実感していただけたかと思います。.

このような状況下でも、変わらず皆さまと読書・文化教養を深めるひとときを送れましたことを、とても感謝しています。

次回は、2020年7月17日㈮に宮沢賢治『銀河鉄道の夜』、ティーカップは、ロイヤルクラウンダービーの「タイタニック」を予定しています。ジャズとアールデコに沸く1920年代に流行した「鉄道文学」の代表作です。作中に登場するタイタニック号の沈没事件。タイタニック号最高級レストラン「アラカルト」で使用されたティーカップと共に、生と死のはざまの幻想的なメルヘンを楽しみましょう!

また近日中に募集のお知らせをいたしますので、皆さまどうぞご参加ください。

追記:募集を開始しました!

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これまでの陶磁器de読書会のようす

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この記事を書いた人

玄馬絵美子

玄馬絵美子

薬剤師 / 「陶磁器de読書会」講師
カリーニョを運営する三姉妹の長女。薬局や病院で薬剤師として勤務し、現在子育て中のアラフォー主婦。株式会社アリベでは財務面を担当。カリーニョでは趣味で研究してきた東西の19世紀末~20世紀初頭の文化・様式・芸術の世界を紹介するコラム執筆、読書会を主宰する。
【これまでの実績】
全国のMR経験薬剤師が作る転職応援サイト『MRファーマシスト』にてマネーコラム連載。
新聞の文芸欄掲載多数。