陶磁器de読書会 私と『絵のない絵本』

次回の読書会はアンデルセン
『絵のない絵本』
物語に描かれる美術様式を超簡単!に解説します

岡山市にある英国アンティークショップ「ポートベロ」さんとのイベント「陶磁器de読書会」
第7回目の次回は、世界を代表する童話の王様、アンデルセンの『絵のない絵本』です。世界中を旅する幻想的なメルヘンです。

ポートベロ公式ホームページ

思い出深い『絵のない絵本』

私にとって『絵のない絵本』は思い出深い物語です。小学生の時、初めて自分で購入した新潮文庫でした。つまり、大人向け文庫を、初めて買ったのがこの作品だったわけです。決め手は薄さと安さ(当時280円)!

この読書会は、基本的に私が今まで読んできた本をテキストに使ってきました。いわば、「私の読書記録」の公開ですね。『絵のない絵本』は、小学5年生に読んで、各章に自分でタイトルまでつけた、お気に入りの作品でした。しかしその読み方は、今のように純粋に文学を楽しんでいたのではなく、「国語の文章問題を解くために、課題文章」として読み解いていた、苦々しい思い出の作品でもあります。

ロイヤルコペンハーゲンの「ブルーフラワー」惜しくも廃盤商品です。

今、こうして我に返ると恐ろしくもゾッとするような、線の弾き方、書き込み。それは、決して「文学を楽しんでいた」訳ではなく、問題文に答えるため、どうやったら問題文としてこの文章を解読できるかという思考で読んでいたものでした。学校教育の国語の読み解きは、あくまで「この課題文章の中の枠の範囲だけで読み解ける内容」であり、その作者の生い立ちや、時代背景、歴史的事情、文化風俗を考慮に入れない(入れてはいけない)読み方なのですね。

それがどんなに本当の文学的には誤った読み方であるかは、詩人の谷川俊太郎も「命まんだら」で指摘していたところです。では、なぜ文学的には誤っていても小中高の学校教育では「課題文章の中の枠の範囲だけで読み解ける内容」を解答として出さないといけないのか。それは、「筆者は何を考えていたのか」という問いの答えを、作者の生い立ちや、時代背景、歴史的事情、文化風俗を考慮に入れた、大学で研究するような文学評論を解答にしてしまいますと、内容が非常にレベルの高いものとなるため、回答に幅ができ、採点作業が非常に難航するからです。

要は、「時代背景とか、そんな高度なことまでは小中高国語教育では求めないから、とにかくまずは「書いてある文章をキチンと読み解く力」を身に着けてくれ」というのが、国語教育なのです。わかりやすく具体例を挙げて、時代背景を含めた「陶磁器de読書会流(ある意味大学レベル)の読み方」と「小中高学校教育流の読み方」の違いを見ていきましょう。

先ほど取り上げた谷川俊太郎さんの「生きる」という詩です。これは小学6年生の国語教科書に掲載されています。
この詩では、「作者はこの詩にどんな思いがこめられているでしょうか」という問いをすることが、学習指導要領で定められています。

陶磁器de読書会流の読み方」では、「戦中、人権のない非人道的で悲惨な行為を繰り返していたことを反省し、戦後、日本国憲法に「基本的人権の尊重」が三大国民主権のひとつとして初めて正式に認められた際に、その内容を具体的に示しながら、非常な喜びとして高らかに謳っている」のです。

対して、小学6年生の「学校国語教育流の読み方」(模範解答)は、「「生きている」ということを改めて見つめ直し、その喜びをかみしめながら、しっかりと生きていきたいという思い」となります。

この違い、わかりますでしょうか。学校国語教育の回答は、確かに間違ってはいません。ですが、それはこの詩に対して矮小に過ぎる、というのが私の考えであり、谷川俊太郎自身もそういう読み方に遺憾の意を表しています。(この違いを見ると、谷川俊太郎さんの気持ちがわかりますね。)←ちなみに、読書会ではこういう感じで解説します。

2020年の学習指導要領改訂で、「主体的な学びを深める」ことが重視され、科目の横断的で総合的思考が重視されました。ですから、小学6年生の「生きる」を学習する時期に、あえて社会科でこの時期にわざわざ「日本国憲法」について学んでいるのですから、しっかり横断的で総合的な思考として、この詩が「日本国憲法の基本的人権の尊重を謳った歌」というのを学習したらいい、そうすれば「基本的人権の尊重」というのが一体何なのか、この詩で具体的によくわかるのに、とは個人的に思うのすが、そういうことは現状では指導していません。それを一律にすると学習レベルが高度になりすぎるのでしょうかねえ。

ということで。陶磁器de読書会では、今回も歴史的事情、時代背景、作者の生い立ちなどをふくめた、徹底的な文学解説をしますよ。というのも、この『絵のない絵本』というのは、タイトルにあるようにまさしく「絵」だからです。「絵」を文学にしたという、画期的な手法を使った物語なのです。

つまり、このメルヘンを「絵」として読むと、驚くことに当時流行した美術様式の絵巻物となっているのです。あまりこのことはアンデルセン研究者でも指摘していませんが。(恐らく文学研究者が美術様式に明るくないため)世界中を旅しながら美しい詩になった「絵」が、いったいどの美術様式なのか?を初心者向けにも超!簡単に解説しますよ。そうすれば、単なるメルヘンが、全く色合いの違う各美術様式に則った「美しい絵」となって、あなたの前に姿を現すことでしょう!

ロイヤルコペンハーゲンを知るために読む『絵のない絵本』

会場はおなじみ、アンティークショップでは全国的にも有名な「アンティークハウス ポートベロ」さんです。

第6回読書会の様子

ポートベロさんにおかれている商品は、まさにヴィクトリア時代のものばかり。物語が描かれている当時の雰囲気にひたれることは間違いありません。

当日はカリーニョレンタル商品の中から、ロイヤルコペンハーゲンの「ブルーフラワー」のワンポイント解説も予定しています。デンマーク文化の2大「輸出品」である、アンデルセンとロイヤルコペンハーゲンの夢の共演、今から楽しみで仕方ありません。
アンデルセンファンの方にも、全くの初心者の方にも、楽しんでいただけれる企画をと考えています。

詳細は、下記の「申込受付中のセミナー・イベント」よりお申し込みくださいませ。

多くの皆さまの参加お待ちしております! 

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この記事を書いた人

玄馬絵美子

玄馬絵美子

薬剤師 / 「陶磁器de読書会」講師
カリーニョを運営する三姉妹の長女。薬局や病院で薬剤師として勤務し、現在子育て中のアラフォー主婦。株式会社アリベでは財務面を担当。カリーニョでは趣味で研究してきた東西の19世紀末~20世紀初頭の文化・様式・芸術の世界を紹介するコラム執筆、読書会を主宰する。
【これまでの実績】
全国のMR経験薬剤師が作る転職応援サイト『MRファーマシスト』にてマネーコラム連載。
新聞の文芸欄掲載多数。