次回の読書会は宮沢賢治
『銀河鉄道の夜』
物語に描かれる謎めいた情景を超簡単!に解説します
岡山市にある英国アンティークショップ「ポートベロ」さんとのイベント「陶磁器de読書会」。
お陰さまで、1周年を迎えることが出来ました。第2シーズンも、名作を紐解くことで文学作品としての新たな一面や、幅広い文化教養をカンタン!楽しく!学んでいきたいと思います。
第6回目の次回は、童話の傑作、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』です。生と死のはざまの銀河世界を夜行列車で駆け巡る詩情あふれるメルヘンです。
思い出深い『銀河鉄道の夜』
私にとって『銀河鉄道の夜』は思い出深い物語です。初めて読んだのが、学生の頃、片山愁さんのマンガからでした。片山愁は自身も大の賢治ファンで、作品にもその思い入れがビシビシ伝わってきます。マンガの画面構図、モノクロの配置、アールデコ調の枠線、そして想像力豊かでないと描くことの難しい銀河鉄道の世界を、見事に(しかも忠実に)再現しています。今読んでも感動する、とても素晴らしいマンガです。
本格的に『銀河鉄道の夜』の作品を読んだのは、朝日新聞が企画した「百年読書会」の選書がきっかけでした。作家の重松清さんを指南役として、新聞史上初?の紙面読書会という大胆な企画を2009年の1年間、やっていたのです。私もそれに参加しまして、2度ほど感想文が掲載されました。その時に採用された文章こそ、『銀河鉄道の夜』だったのですね。
いうまでもなくこの童話の美しさないし魅力は、、列車のゴトゴトという振動音とハレルヤという賛美歌の響きが、幻想と寂寥の余韻となり、やがて無限の天空の闇夜に拡がってゆくと、それが静かなさざなみとなって読者の心に沁みいるところにある。
どことなく微妙に不思議な賢治独特の文体も、物語の雰囲気をいっそう深めている。晩夏の夜、列車の車中で出会う生け捕り鳥の菓子やりんごの甘い匂い、そしてハレルヤハレルヤという賛美歌の響きがこだまする、生と死とのはざまにある玲瓏(れいろう)と美しい銀河の旅…。
そういうものを味わうだけで十分な作品ではないか。
うーん。今でもこの思いは変わりませんねえ。
ただ、今回もう一度精読する中で、そして文献調査をしていくうちに10年前の当時には見えなかった謎めいたセリフや情景の意味が分かりましたので、ぜひそこを読書会でお伝えしたいかと思います。
この読書会の魅力というか、特徴は、全く選書を読んでなくても十分に読書会を楽しめる、というところなのです。何の予備知識もなくても、いやむしろ何も知らない真っ白な状態でお越しくださいね。そして、読書会での解説を聞いた上で、選書を読むと「ああ、文学作品ってこうやって味わって読むんだ!」と感動しますよ。
これは1年前から変わらないコンセプトですね。第2シーズンでもこのコンセプトを大事にしていきたいと思います。

ロイヤルクラウンダービー「タイタニック」を知るために読む『銀河鉄道の夜』
作中に登場するタイタニック号の沈没事件。当日はロイヤルクラウンダービーの「タイタニック」のワンポイント解説も予定しています。タイタニック号最高級レストラン「アラカルト」特注食器の復刻品であるこの食器と共に、幻想的なメルヘンを楽しみましょう。
物語の時代背景に合わせた陶磁器と、文学作品を楽しむというぜいたく時間。
なかなか他では味わうことが出来ませんよ。
会場はおなじみ、アンティークショップでは全国的にも有名な「アンティークハウス ポートベロ」さんです。

ジャズとアールデコに沸く1920年代の「鉄道文学」でもある『銀河鉄道の夜』。当時の時代背景も探ります。イーハトーヴ、賢治ファンの方にも、全くの初心者の方にも、楽しんでいただけれる企画をと考えています。
詳細は、下記の「申込受付中のセミナー・イベント」よりお申し込みくださいませ。
多くの皆さまの参加お待ちしております!
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