次回の読書会はスティーブンソン
『ジキル博士とハイド氏』
ハラハラドキドキの名作怪奇小説を超簡単!に解説します
岡山市にある英国アンティークショップ「ポートベロ」さんとのイベント「陶磁器de読書会」。
第5回目の次回は、イギリスはヴィクトリア朝を代表する怪奇小説、スティーブンソンの『ジキル博士とハイド氏』です。読んだことはなくても、「二重人格」の代名詞としてご存知の方も多い、名作中の名作です。
なぜ今回『ジキル博士とハイド氏』?
これはですね、共催者のポートベロ金森さんと次回の選書を何にしようか結構悩んで、最終的に金森さんが『ジキル博士とハイド氏』にしましょう!と推してくれて決定したものです。『赤毛のアン』の時には、二人とも満場一致でスパッと決まりましたからね。ただ、今思えば季節柄を考えると、2月に『ジキル博士とハイド氏』をして、5月に『赤毛のアン』をすればちょうど季節が良かったですね。
この読書会は、基本的に私(と金森さんも)が今まで読んできた本をテキストに使ってきました。いわば、「私の読書記録」の公開ですね。『ジキル博士とハイド氏』、略してジキハイ(業界用語)は、小学5年生と大学時代に2度読んだ、思い出の作品です。
今回のテキストは、田口俊樹新訳の新潮文庫を予定しています。
ただ・・・正直なところを言うと、私は学生時代に読んだ新潮文庫旧訳の田中西二郎訳が良かったのですよ。格調高い文体は、ヴィクトリア朝の知識階級(アッパーミドルクラス)を描くスティーブンソンの文体に合っていたからです。

私が小学校5年生に読んだポプラ社文庫(左)と大学時代に読んだ田中旧訳の新潮文庫(右)
更に残念なところを言うと、例えば読書会第1回目の『秘密の花園』の新訳では、「クリーム」が「クロテッドクリーム」に、「白パン」が「コテージローフ」と、英国文化を表す固有名詞が完全に訳されてきて、「ああ、新訳にして良かった!」と心から思えたのですが、田中訳では「デモンとピシアスのような親友同士」という古代ギリシア民話での例え話があったのに、新訳の田口訳では単なる「無二の親友が…」で固有名詞が完全に消されているんですね。『秘密の花園』の新訳コンセプトと逆行しているのですよ。これは、個人的には残念でした。
ですので、読書会ではもちろん「デモンとピシアス」のエピソードを復活させて、完訳の愉しさを味わいましょう。
英国陶磁器のデザインを知るために読む『ジキル博士とハイド氏』
前回の『赤毛のアン』も陶磁器文化を知るためにはもってこいの文学作品でしたが、今回のジキハイも、負けず劣らず陶磁器文化が語れる作品です。ジキハイは、いわゆる英国発祥の「ゴシック小説」代表作。ヴィクトリア時代に大人気となった今回のゴシック小説の背景を紐解くために、英国の老舗陶磁器メーカーの食器をゲストに迎え、そのデザインを解説したいと思います。
これを知るだけで、『ジキル博士とハイド氏』の物語読解に深みが増すのは間違いありません。日本人が、何の予備知識も持たないで読む『ジキル博士とハイド氏』とはまるで違う世界が見えてくると思いますよ。
ただ、それだけで終わらないのが、「陶磁器de読書会」です。普通、こういう講座なら、文学作品に登場する陶磁器文化だけの説明で終わるとこでしょうが、ちゃんといわゆる文学的な解釈もふんだんに入れて、物語の読み解きを行うのも、この読書会の特徴です。
会場はおなじみ、アンティークショップでは全国的にも有名な「アンティークハウス ポートベロ」さんです。
ポートベロさんにおかれている商品は、まさにヴィクトリア時代のものばかり。物語が描かれている当時の雰囲気にひたれることは間違いありません。
当日はカリーニョレンタル商品の中から、ノリタケの「イブニングマジェスティ」のワンポイント解説も予定しています。夜のシーンが多いテキストにぴったりの、ミステリアスな魅力にあふれた「イブニングマジェスティ」を読書会に登場させるのが、今から楽しみで仕方ありません。
ミステリーファンの方にも、全くの初心者の方にも、楽しんでいただけれる企画をと考えています。
詳細は、ホームページの「ニュース」でお知らせする予定ですので、どうぞお楽しみに!
多くの皆さまの参加お待ちしております。 【この読書会は終了しました】
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