ウェッジウッド「クタニクレーン」 -”東洋への憧れ”を感じるシリーズ

ウェッジウッドにおける日本デザインの影響は、19世紀はじめ(1810年頃~)にあらわれ始めます。これは当時ロンドンのショールームの顧客からのリクエストで、営業担当からウェッジウッドの工場に「日本風のデザインを作ってほしい」と要請があったことが関係しているようです。

そんな中で誕生した異国情緒を感じさせるシリーズのひとつが、「クタニクレーン」。

1815年頃に販売されますが、当時はあまり評価されませんでした。結局のところ”イマリブーム”に沸いていたのは、豪華絢爛な邸宅が持てる一部の富裕層のみだったのですね。

しかしこのクタニクレーンは、その後も何度も復刻されてきました。ここ最近では2009年に、ウェッジウッドの創立250周年を記念して復刻されています。

そして、なんといってもシリーズ名に使われている「クタニ」という言葉。
イギリスの陶磁器ブランドであるウェッジウッドのシリーズ名に、日本の九谷焼を連想させる名前が使われていることに反応してしまう日本人も少なくないのではないでしょうか。

実際にこのクタニクレーンは、九谷焼にちなんで命名されています。しかし日本趣味というよりも、どちらかというと中国趣味的な印象を受けます。また、クレーン(crane)は「鶴」を意味する英語ですが、描かれているのは、鶴というよりも孔雀のようです。

中心に描かれているのは鶴ではなく、孔雀?

それでも日本の代表的なやきものである九谷焼と、日本を象徴する美しい鳥(鶴)を名前に冠することで、当時の西洋の人々の東洋への憧れを感じとることができます。

こうやって西洋と東洋がお互いに関心を持ち、それを美術絵画や工芸品……もちろん食器デザインにも、自分たちの解釈として取り入れ、新しいものを創り出していた歴史があることを伝えてくれる、クタニクレーン。
西洋磁器ですが、中華料理や日本料理の食卓にもぴったりです。

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参考文献:
図録「創立250周年記念ウェッジウッド」(2009年)
図録「英国陶工の父ジョサイア・ウェッジウッド」(2000-2001年)
Chatea紅茶教室著『図説 英国美しい陶磁器の世界』(2020年,河出書房新社)

この記事を書いた人

加納亜美子

加納亜美子

西洋磁器史研究家 / 料理研究家
「カリーニョ」代表。カリーニョを運営する三姉妹の末っ子。

幼少の頃から洋食器コレクターの父親の影響を受け、食器の持つバックストーリーに興味を持ち、文系塾講師、洋食器輸入会社で勤務後、2016年1月~会員制料理教室「一期会」、2019年1月~高級食器リングサービス「カリーニョ」の運営を始める。
曾祖母は赤絵付けの原料となるベンガラ作りに関わっていたルーツを持つ。