【第4回】ウェッジウッドの創業者は、ビジネスのアイディアマン!

「食器講座×歴史上の人物 第4話」では、第1回第2回第3回に引き続き、ウェッジウッドの創業者であるジョサイア・ウェッジウッドの話です。


(ウェッジウッド創業者:ジョサイア・ウェッジウッド ※出典:wikipedia

今回からは少し内容を深めて、彼がビジネスの近代化を推し進めたアイデアマンであったこと、そして陶磁器を製造していたという”実業家”としての側面だけでなく、生涯をかけて人権問題に取り組んできたという”社会派の人間”でもあったという2点について説明します。

アミーゴ先生
今回は、ジョサイアのアイデアマンぶりからご紹介しましょう!

今は当たり前の営業手法が、当時としては斬新だった

ジョサイアは、18世紀当時としては斬新な手法でマーケティング(営業)に取り組みます。
それが、①ショールーム、②商品カタログ、そして③顧客サービスでした。

①ショールーム

まず、彼はショールームをロンドンの目抜き通りに開設しました。

(ウェッジウッド記念プレート2000年 当時のショールームの様子を描いたプレート)

アミーゴ先生

ジョサイアは、「どんな素晴らしいものでも、人に知らしめなければ、その価値は評価されない」と言ってたそうです。

このショールームには、エカテリーナ大帝に献上されたフロッグサービスや、彼が苦難の末に完成させたポートランドの壺も展示されていました。(これらの話は、別コラムでご紹介します)

この様な目玉商品を展示したショールームの宣伝方法は、人々の大注目を集めたのですね。

②カタログ

ショールームには、カタログも置かれました。カタログを店に置くことで、たとえ店に商品がなくても、事前に注文を受ける商法が可能となったのです。

アミーゴ先生
今となっては当たり前の「カタログを見て商品を選ぶ」というのも、当時としては大きな発想転換だったのですね。

この結果、受注してからの生産など、適正在庫数を効率よく生産できるようになりました。特に高額な工芸品の場合は、効果が絶大だったといわれています。

さらに、英語以外にフランス語、ドイツ語、オランダ語でもカタログを作り、ジョサイアは自分の息子にこのカタログと人気商品を持たせて、ヨーロッパ大陸の貴族たちを訪問させました。

アミーゴ先生
今でいう「ルートセールス」ですね。これにより、遠隔地への営業も可能となりました。

また、すでにシャーロット王妃がウェッジウッドの後援者になることで「英国王室御用達」のお墨付きを拝命されていたウェッジウッドですが、だんだんと親しい貴族の顧客たちに、親戚や友人への推薦状も書いてもらえるようになっていきました。

アミーゴ先生
この時代の推薦状は絶大でした。コネ社会であった上流階級の当時、今でいう口コミや、レビュー並みの力を発揮したのです。

 

③顧客サービス

ジョサイアは、商品に満足しなかった場合の返金保証、顧客のきめ細かなニーズを的確にとらえる豊富な知識を備えた販売員を、ショールームに配置します。これらのサービスは、どれも現在の日本でよく見られる顧客にとって有難いサービスです。ジョサイアは、陶磁器メーカーが誰もしなかったこれらのサービスを、いち早く取り入れました。

アミーゴ先生
「見せ方の工夫」「口コミの大切さ」「顧客目線のサービス」という、営業で必要不可欠なことを、彼は十分に理解していたのでしょう。

 

人を大切にする雇用制度

また、ジョサイアは人材も大切にしていました。
彼は1793年当時、工場に300人近い労働者をかかえていました。当時ストーク・オン・トレントの工場は、乾いた陶土からでる埃(ほこり)や焼成の煙などで空気が悪く、長期の病欠者も少なくありませんでした。

この状態を看過しなかったジョサイアは、従業員たちから分担金を集めて、病気の際の欠勤手当や退職金などに充当するシステムを導入しました。

アミーゴ先生

これも今では決して珍しくないしくみですが、当時としては画期的なものでした。

そのほか、就業ベルや、現在のタイムカードの原形となった入退出時間の管理方法を編み出しました。職人たちに作業終了後の手洗いや着替えなど衛生指導を行い、病気欠勤手当や退職金制度も整備するなど、労働者の社会保障全般も担ったのです。

アミーゴ先生

いかがでしたか?

今回のコラムでは、ジョサイアがいかにマーケティングや人材の大切さを鋭く察知し、画期的なアイデアを先取りしては素早く導入してきたかがお分かりいただけたのではと思っています。

彼のこのような実業家精神は、今を生きる私たちにも学ぶべきところが多いと思います。
私も、「鋭く察知し、合理的に先取りし、素早く導入」という柔軟性は心がけていきたいですね!

さて、ウェッジウッドの創業者ジョサイア・ウェッジウッドを紐解くコラムも、次回が最後です。
最後は、イギリスにおける社会問題へのジョサイアの取り組みをご紹介していきます。なかには重くて暗いお話もありますが、今のイギリスは、その歴史の上に成り立っているもの。

世界史のお勉強と兼ねながら、紐解いていきましょう。どうぞお楽しみに!

 

 

【このページの文章を書いた人】
加納亜美子(アミーゴ先生)

株式会社アリベ 代表取締役/『カリーニョ』代表
カリーニョを運営する三姉妹の末っ子。料理教室「一期会」を主宰し、洋食器輸入代理店でのセミナー講師、コラム執筆など多岐にわたり活動中。
通称:アミーゴ先生。これは、”世界中に沢山の友達が出来るような社交的な人になるように”と、父親が「アミーゴ(スペイン語で『友達』)から由来して名付けた「亜美子」にちなんだニックネーム。

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