【第3回】ジョサイア・ウェッジウッドから学ぶこと(2)

生涯の親友ともいえるパートナーとの出会い

「食器講座×歴史上の人物 第3話」でも引き続き、ウェッジウッドの創業者であるジョサイア・ウェッジウッドの話です。


(ウェッジウッド創業者:ジョサイア・ウェッジウッド ※出典:wikipedia

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経営者としてのジョサイアを語るうえで忘れてはならないのが、前回登場したウェッジウッド社の共同経営者(パートナー)であり、生涯の親友ともいえるトーマス・ベントレーの存在です。

人脈も友人も、お金では買えない財産。
ジョサイアがベントレーという、友人であり、心から信頼できる共同経営者を得ることができたのは、本当に幸運なことでした。
ベントレーはジョサイアを支援し、その後の彼の経営方針に多大な影響を与えていきます。

講師アミーゴ
アミーゴ先生
ちなみにベントレーは1730年生まれで、ジョサイアと同い年です。

運命の出会い

ジョサイアとベントレーの出会いは1762年、二人が32歳の頃でした。

当時ジョサイアは仕事でリバプールを訪れることが度々ありました。リバプールは当時、イギリス最大の商業都市で、とりわけアメリカや西インド諸島などの植民地との交易が盛んな港町でした。そのリバプール港からアメリカなどへ送る製品チェックをしたり、釉薬に使うコバルトを仕入れたりしていました。

そんなある日、ジョサイアは幼い頃天然痘にかかった右足の状態が事故で悪化し、ついに切断することになります。その時の外科医マシュー・ターナーがジョサイアに紹介したのが、ベントレーだったのです。

ベントレーは裕福な商人でした。
彼はフランス語やイタリア語など語学堪能で、美術や文学にも造詣が深く、多彩な趣味、広い人脈などを持った、明らかに利益追求だけの商人ではありませんでした。

ジョサイアはそんな博学なベントレーに魅かれ、逆にベントレーもまた、研究熱心で勤勉なジョサイアに好感を持ち、すぐに二人は意気投合します。

 

(ウェッジウッド本社のミュージアムにかかっているベントレーの肖像画。穏やかで温厚そうな表情から、彼の人柄をうかがい知ることができます。)

 

出会いから7年後の1769年には、ジョサイアはベントレーを正式に共同経営者として迎え、ほぼ同時期にエトルリア工場を開きました。最新システムを導入した近代的なその工場は、それまで家内工業規模だったイギリス窯業に大きな変革をもたらしました。

経営面でも全力でジョサイアをサポート

ベントレーの功績はそれだけではありません。
彼はロンドンにあったウェッジウッド最初のショールームのマネージャーにもなりました。
美術に非常に詳しかったベントレーは約11年間、当時のロンドンの流行や情報などをジョサイアに送りながらアドバイスし、経営面でも手腕を振るいました。

生涯の親友との別れ

そんなベントレーは、1780年に50歳で亡くなります。
仕事のパートナーでもあり、親友でもあった彼の死に、ジョサイアは大変なショックを受けました。
これはベントレーが亡くなる2年前に、ジョサイアに宛てた手紙です。

In December 1778, Bentley wrote to his old friend, Josiah Wedgwood : “I have not any friend by whose side I have been accustomed to engage and conquer; and who had the same energy that you constantly possess, when there is occasion for it, either to promote the public good, assist your friends, or support your own rights. I fancy I can do anything with your help, and I have been so much used to it, that when you are not with me upon these occasions I seem to have lost my right arm”.

「あなたほど私と同じくらいの気概を持って、常に挑戦し続ける友人は他にはいない。私はあなたの助けを借りれば何でもできると思いこんでいるし、あなたの協力があることにもう慣れてしまっているんだ。公益の促進や、友人への支援、人権運動のような活動の場面に出くわした時に、私の傍らにあなたがいないと、私はもうまるで右腕を失ったかのようだから。」(1778年12月)

講師アミーゴ
アミーゴ先生
彼らの偶然でありながら必然的であった出会いから、何か偉業を成し遂げるときには、「陰の立役者」の存在があり、人は一人では生きていけないことを改めて感じるエピソードだと思います。

 

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【このページの文章を書いた人】
加納亜美子(アミーゴ先生)

株式会社アリベ 代表取締役/『カリーニョ』代表
カリーニョを運営する三姉妹の末っ子。料理教室「一期会」を主宰し、洋食器輸入代理店でのセミナー講師、コラム執筆など多岐にわたり活動中。
通称:アミーゴ先生。これは、”世界中に沢山の友達が出来るような社交的な人になるように”と、父親が「アミーゴ(スペイン語で『友達』)から由来して名付けた「亜美子」にちなんだニックネーム。

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