こんにちは。カリーニョ代表の加納です。
お久しぶりの投稿です。ここ最近、いろいろと自分に言い訳をして読書の時間や文章でアウトプットする時間が取れていなかったので、読書の時間・アウトプットの時間を作っていくため、2年ぶりに「アミーゴの読書感想文」を再開します。
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最初の読書感想文は一気に4冊まとめて。
(1)『森村市左衛門の無欲の生涯』(砂川幸雄著,1998年)。
(2)『ウェッジウッド物語』(日経BP社,2000年)
(3)『岩波講座 世界歴史22 産業と革新―資本主義の発展と変容』内の「模倣と着想 ―J・ウェッジウッド、森村市左衛門、もう一つの産業化」(87-107頁,鈴木良隆著,岩波書店,1998年)
(4)『現代語訳 西国立志編 スマイルズの自助論』(S・スマイルズ著,中村正直訳,金谷俊一郎現代語訳,PHP研究書,1996年)
です。
森村市左衛門といえば、洋食器業界では「現ノリタケの創業者」としてお馴染みの偉人です。今年の私自身のテーマが「日本国内の洋食器」なので、(1)の彼の伝記からスタートさせました。
この本に関しては、2020年に購入してから、ノリタケに関連する洋食器講座を開講する際に度々、参考文献として部分的に読んでいました。今回久しぶりにひととおり読了してみると、なんだかとてもウェッジウッドの創業者ジョサイア・ウェッジウッドと重なる点を多く感じる!そこで、ジョサイアの伝記(2)『ウェッジウッド物語』(こちらも再読本)も読むことにしたのです。
すると彼ら二人には、やはりシンクロする部分が多々ある。しかし、ネットで調べても、ふたりの共通点をまとめた文章が見当たらない――ということで、これはもう、読書感想文という粋を超えてまとめてみよう、と思った次第です。
ところが、産業革命の時代背景について調べようと、たまたま家の本棚で「積ん読」状態になっていた (3)の『世界歴史22』をパラパラと読んでいたとき、私が感じていた森村市左衛門とジョサイアの共通点に言及している鈴木良隆さんの論文を見つけて、あーっ!と思わず心の中で叫んでしまいました。
陶磁史の専門家ではなく、経営学者という視点からみる森村市左衛門とジョサイアの共通点、二人を軸にしてみる英国と日本の製陶業の産業化についての話は、とても興味深いものでした。
そしてさらに、気づきました。そういえば森村市左衛門は、福沢諭吉と非常に濃い人間関係があります(福沢諭吉がきっかけで市左衛門は輸出業を始めるし、福沢諭吉の息子たちがアメリカに留学する際には、留学中の諸費用のすべて(!!)を森村組のNY支店に託していたし、福沢諭吉の門下生が渡米する際には、森村組のNY支店がその拠点になっていたし、とにかく信頼しあっていた)。
福沢諭吉といえば『学問のすすめ』(1872年)が明治時代に大ベストセラーとなりますが、この時代に同じく大ベストセラーとなっていたのが、前年に出版されていた中村正直の(4)『西国立志編』(1871年)です。
「天は自ら助くる者を助く」の言葉で有名なこの本を、同じ時代を生きた市左衛門が読み、何かしら影響を受けていたことは、容易に想像できます。
森村市左衛門と『西国立志編』の著者である中村正直には「福沢諭吉」という共通の知り合いがいたこと(中村正直と福沢諭吉は、ともに明六社(日本初の啓蒙思想団体)の創設メンバー)、何より、市左衛門のポリシーである「独立自営」と、『西国立志編』で説かれているS・スマイルズの『自助論』の哲学には、あまりに共通項目が多く、さらに、この『西国立志編』には、ジョサイア・ウェッジウッドの伝記が含まれているのです。
そこで今回は、(もはや読書感想文とは言えなくなってしまうかもしれませんが)、これら4冊の書籍から得られた新しい知見を、自分の言葉でまとめてみることにしました。
どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。
※前置きが長くなりすぎたので、本題は次に続きます。
2022年アミーゴの読書感想文
1冊目:『森村市左衛門の無欲の生涯』(砂川幸雄著,1998年)
2冊目:『ウェッジウッド物語』(日経BP社,2000年)
3冊目:『岩波講座 世界歴史22 産業と革新―資本主義の発展と変容』内の「模倣と着想 ―J・ウェッジウッド、森村市左衛門、もう一つの産業化」(87-107頁,鈴木良隆著,岩波書店,1998年)
4冊目:『現代語訳 西国立志編 スマイルズの自助論』(S・スマイルズ著,中村正直訳,金谷俊一郎現代語訳,PHP研究書,1996年)
※1冊目~4冊目 前編「まえがき」 後編「本題」