こんにちは
カリーニョスタッフのTomokoです。
1/7(木)近鉄文化サロンにて今年最初の講座が開催されました。
午前は初心者のための洋食器講座イギリス陶磁器編第4回[ロイヤルドルトン]、午後は【ハプスブルグ家と名画・陶磁器の世界】繁栄と終焉~現代的な感性と自由を愛したエリザベート~でした。
ハプスブルグセミナーも[エリザベート]まで来ました。
エリザベートというとミュージカルを思い浮かべる方も多いと思うのですが、時代背景を知ってミュージカルを観るとまた新たな発見があってとても面白いと思います。

前回のマリー・アントワネットの時代は18世紀、今回のエリザベートの時代は19世紀になり、舞台もフランスからオーストリアに戻ってきます。当時ハプスブルグ家が統治していたのは神聖ローマ帝国でしたが、フランス革命後に起こったフランス革命戦争(のちにナポレオン戦争に名称変更)で壊滅的な打撃を受けた神聖ローマ帝国は解体されていき、ハプスブルグ家はオーストリア帝国を統治することになります。

そして美術様式の分野でも、絶対王政のバロック様式から宮廷貴族文化であるロココ様式、そして我に返ったように真面目に戻る新古典主義となり、この時期に写実主義が生まれますが、1826年カメラが出現することにより、本物のように描くことを求められてきた絵画はゴールに達成してしまいます。ここからはアートにしかできないことを追求していく時代に突入していくことになるのです(印象派、分離派‥・)。
本名:エリザベート・アマーリエ・オイゲーニア・フォン・ヴィッテルスバッハ(1837∼1898)。
バイエルン公国の二女として生まれたエリザベートは、姉ヘレーネのお見合いに付き添い、そこでオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に見染められ、16歳で結婚しオーストリア皇妃となります。
自由人だった父の気質を受け継いだ彼女と、厳格な宮廷生活を押し付けてくる姑ゾフィ大后妃との関係は最悪。宮廷生活や皇后としての義務や職務を嫌い、生涯にわたり様々な口実を見つけてはウィーンから逃避し続けたと言われています。

彼女がお妃教育を受けたマイラット伯爵がマジャール人(ハンガリー人)だったことからハンガリーに興味を持ち、姑ゾフィがマジャール人嫌いだったと言うこともあり、オーストリア=ハンガリー二重帝国が誕生した後は、オーストリアの一部となったハンガリーを熱愛していました。
ハンガリーの名窯「ヘレンド」
この頃ウィーン窯は経営不振から閉窯(1864年)してしまったため、同じハプスブルク家領土であったハンガリーのヘレンド窯がデザインを受け継ぎました。
そのため、ウィーン窯の[オールドウィンナーローズ]は、ヘレンド窯で[ウィーンのバラ]となり、その後、ウィーン窯がアウガルテンとして再開した際には[ウィンナーローズ]として受け継がれていきます。
これらのバラ柄はハプスブルグ家門外不出のパターンだった為、今では私達もこうして触れることができますがこの時代には庶民が触れることすら許されませんでした。

他にもヘレンドにはエリザベートに関連するシリーズがたくさんあり、エピソードともにそれぞれ紹介されましたが、どれも本当に素敵なものばかり。これらを手に取って眺められるなんて、改めて現代に生まれてきてよかったと思います。
「ヨーロッパ宮廷随一の美しい皇妃」と言われた彼女(その姿は写真でも残されています)ですが、過度なダイエットを行いウエスト50㎝を保つことを病的なまでに執着していたようです。そのダイエット法は現代の私たちが聞くととても実行できるものではありませんが‥。19世紀のダイエットにおけるパイオニア的存在だと亜美子先生は言います。
そんなエリザベートも晩年は息子の自殺、そして自身もイタリア人無政府主義者ルイジ・ルケーニに暗殺されてしまいます。オーストリア皇妃であったに関わらず生涯、自由を愛し、旅をつづけた彼女は、現代人に通ずる感性を持った方だったんでしょうね。
次回【ハプスブルク家と名画・陶磁器の世界】は、新しい時代へ~新しい芸術の誕生ウィーン分離派~です。
ご興味のある方はぜひ!!
募集内容はこちらをご覧ください
【新講座】ハプスブルク家と名画・陶磁器の世界(近鉄文化サロン阿倍野)
皆さまのご参加をお待ちしております。申し込みは、近鉄文化サロンで受付しています。
ご不明な点がございましたら、カリーニョにもお気軽にお問い合わせくださいね。
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