講座レポ テーブルウェアで学ぶ美術様式と食器デザイン第6回[モチーフで見る美術様式の変遷]

こんにちは。
カリーニョスタッフのTomoko です。

本日はル・ノーブル長岡京店にて、美術様式と食器デザインの最終回【モチーフで見る美術様式の変遷】が開催されました。

「装飾を知るには、まず、スタイル(様式)を学ばなければならない」

クリストファー・ドレッサー(※ジャポニスムを英国に広めたデザイナー)

これまでの講座で学んできた様式を知ることが、これから学ぶモチーフとその変遷を知るのに必須だったということです。

まずはおさらいとして今までの復習をしていきます。

16世紀、宗教改革によってカトリックとプロテスタントに分かれたキリスト教。
偶像崇拝をしないプロテスタントに対し、カトリックは、教会だけでなく王様も、より強大な力を見せつける為(絶対王政)に、ボリュームたっぷりで装飾過多な建築物や美術品が創られる[バロック様式]が生まれました。

そんな絶対王政のしきたりから逃れるため、貴婦人たちのサロン文化が発祥したのが[ロココ様式]。まんが「ベルサイユのばら」の世界そのままに、フリフリドレスに猫足家具など室内装飾に用いられる様式です。非常にフェミニンで繊細なのがロココ様式の特徴です。

貴族文化だったロココ様式は、フランス革命(1789年)を機に一気に真面目に戻るかのように、歴史的で、知的で、理性的な[新古典様式]に代わっていきます。新古典様式は、古代ギリシャ・ローマ様式のリバイバルです。服装も随分おとなしくなり、絵画ではいかに写実的に描けるかという技術が完結されてきます。

写実主義が起こる頃、カメラが出現(1826年)し、本物のような絵を求められた時代が終わり、「アートにしかできないことはなにか?」という問いに対する答えを見出すアーティストが台頭してきます。印象主義、分離派、そして、アール・ヌーボーの時代です。

アルフォンス・ミュシャのポスターに代表される植物的で流れるような曲線が特徴の[アール・ヌーボー]。ロココ様式との違いは、ロココは貴族発祥の美術様式で、アール・ヌーボーは初の民衆発祥の美術様式ということと、明るい明色でパステルカラーのロココ様式に対して、アール・ヌーボーはくすんだイエローグリーンなどの淡濁色がコンセプトカラーなことです。

第一次大戦以降(1920年~)、アール・ヌーボーと真反対なイメージの、モダンな直線と曲線の幾何学模様が特徴の[アール・デコ]がおこり、ようやく長い長い美術様式の終着点を迎えることになります。(その他、シノワズリやジャポニスム、ゴシック・リバイバルもありましたね)

バロックの時代までは、美術絵画においてのヒエラルキーは、歴史画→肖像画→風俗画→静物画であり、美術においての中心は人物でした。人間こそが最も重要なモチーフで、自然はあくまで添え物でしたが、バロック以降、動植物の絵が1つのジャンルに発展していき、花の絵も独立して描かれるようになります。

そして陶磁器においてのモチーフは、紋章、羽(神話的モチーフ)→動物・風景→花となり、花の中でもバラやユリのように人が手をかけて育てる花は格式高く、野花や小花は格が低いとされてきました。

そもそも「モチーフ」とは?

ひとことで言うと、「題材、模様」。語源はフランス語のmotif。「動機、意志」という意味で、「何かを作る動機となるもの」という使い方に派生し、「主題」という意味が加わるようです。

バラ(薔薇、ローズ)、ユリ(百合、リリー)、フルール・ド・リス(百合の紋章)、鳥、アカンサス(ハアザミ)、月桂樹、フェストゥーン(花綱文)、ザクロ(柘榴、石榴)など8つのモチーフの様式による違いを見ていきます。

バラ(薔薇、ローズ)は、ギリシャの女神ヴィーナスの花であり、聖母マリアの花でもあります。なので、神話にも宗教画にも使われてきた花です。バラにはもともとの野生種のオールド・ローズと、人工的に交配して作られたモダン・ローズがあります。

バロック~新古典まではオールド・ローズが描かれていました。陶磁器の場合は、東洋磁器の模倣をしていた18世紀初期はバラも少し東洋的でしたが、そこから徐々にヨーロッパ風のバラが描かれるようになります。さらにモダン・ローズが登場することでバラの描かれ方も変わります。このように時代や様式ごとにモチーフにも変化が見られるのです。

かと思えば、月桂樹のようにモチーフの描かれ方に大きな変化がないものもあります。

モチーフの変遷を見ることで、それぞれのモチーフの見た目だけではなく、その時代ごとの捉え方や描かれ方が違うことがわかり、新しい発見ができました。

こうして、美術様式を理解することで、陶磁器や絵画の描かれた時代背景がわかり、それぞれの時代を生きてきた人々の想いも感じることができたように思います。

来年からはまた新しいシリーズの講座がスタートします。さらなる大人の学びをご一緒できたらうれしいです。

\ 関連記事はコチラ /

【絶賛発売中】オンライン講座(動画+レジュメのセット)

この記事を書いた人

編集部

カリーニョ編集部による記事です