特別展『海を渡った古伊万里 ウィーン・ロースドルフ城の悲劇』が本日から開催

こんにちは。カリーニョ代表・加納亜美子です。

とても楽しみにしていた特別展「海を渡った古伊万里 ウィーン ロースドルフ城の悲劇」が、いよいよ本日から東京の大倉集古館で開催されます。

昨日行われた内覧会にご招待いただき、ひと足お先に見てきましたが……もう、本当に素晴らしい特別展でした。

主役が「歴史的価値のある、美しい陶磁器」ではなく、ウィーンの古城で第二次大戦中、旧ソ連軍によって破壊された「無数の陶磁器の破片(陶片)」という、非常にユニークな展覧会。

まず特筆すべきは、「破壊と再生」というテーマ性が伝わる、その展示方法です。陶片たちが、負の歴史を物語るようにそのままの状態で展示されている姿に、戦争の残酷さを感じる一方で、表から見ると陶片だった姿が想像できないくらいに修復された器の展示からは、日本の技術力の高さを感じることもできます。 (ちなみに「表」から見るとほぼ完璧な状態ですが、「裏」は、あえて陶片だった姿がわかるよう、修復が施されていないという…器の表裏を通して、「破壊と再生」を表現されています)

古伊万里の陶片たち(※撮影,WEB掲載の許可を得て投稿しています)

そして何より、日本の古伊万里がヨーロッパで熱狂的に愛され、中国・西洋で模倣が繰り返されたという、磁器の持つ「文化・歴史・芸術の越境性」という物語性を感じとることができるのも、素晴らしかった。。。今、世界がいろんな意味で分断されている中で、こういった越境性を感じられる展示に出合うことに、非常に意味があると思えてやみません。

古伊万里だけではなく、ウィーンの古城ならではの、ウィーン窯の陶片を中心とした、マイセン、ロイヤルコペンハーゲン、ウェッジウッドなどの西洋陶磁の破片群も圧巻。もちろん古伊万里の歴史も、しっかりと学ぶことができます。

西洋陶磁のなかで一番多かったのは、やはりウィーン窯。染付の影響を感じる陶片群。(※撮影,WEB掲載の許可を得て投稿しています)
よく見ると、ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプ。(※撮影,WEB掲載の許可を得て投稿しています)
こちらはよーく見ると、マイセンのバックスタンプに二重線。アウトレット(B級品)である証です。(※撮影,WEB掲載の許可を得て投稿しています)

写真撮影、SNS投稿のご承諾を得て、一部画像を載せますが、戦争と平和、西洋と東洋の繋がり・物語性は、ぜひ実物を見て、体感していただきたいです。(通常は撮影NGです。そして、わたしが一番感動した、ほぼ完全な状態に修復された器は、あえて投稿しません。。。)

個人的には、この展覧会を開催するために結成された「古伊万里再生プロジェクト」を、去年からずっとずっと陰ながら応援してきて、実際にロースドルフ城の「陶片の間」を訪問したこともあり、とにかくプロジェクトメンバーの皆様の努力と想いがカタチになったこの展覧会に対して、特別な思い入れを持っています。(一方的に。。。笑)

古伊万里再生プロジェクトの方々と。

今回、少しでも多くの方にこの展覧会を知っていただけることを願って、ご紹介させていただきました。

ちなみに、昨日NHKでもこの特別展が放送され、約4分で展覧会の概要と、プロジェクト代表・保科 眞智子さんのメッセージをみることができます。

▼NHKでの放送はこちら
https://www3.nhk.or.jp/…/20201102/k10012692251000.html

▼特別展の詳細はこちら
https://www.shukokan.org/…/20201103_loosdorf_flyer.pdf

▼古伊万里再生プロジェクトの詳細はこちら
https://www.roip.jp

来年には、愛知、山口にも巡回展があります。きっと私は追っかけみたいに、何度も足を運びそうな予感……笑

展覧会の概要

会期2020年11月3日(火・祝)~2021年1月24日(日) 
開館時間10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始:
 11/9(月)、11/16(月)、11/24(火)、11/30(月)、12/7(月)、12/14(月)、12/21(月)、12/28(月)~1/1(金・祝)、
 2021年:1/4(月)、1/12(火)、1/18(月)、
入館料一般:1,300円
大学生・高校生:1、000円※学生証をご提示ください。
中学生以下:無料
※各種割引料金は、「利用案内」をご覧ください。
主催公益財団法人 大倉文化財団・大倉集古館、日本経済新聞社

【今後の巡回予定】
愛知県陶磁美術館(2021年4月10日~6月13日(予定))
山口県立萩美術館・浦上記念館(2021年9月18日~11月23日(予定)

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この記事を書いた人

加納亜美子

加納亜美子

西洋磁器史研究家 / 料理研究家
「カリーニョ」代表。カリーニョを運営する三姉妹の末っ子。

幼少の頃から洋食器コレクターの父親の影響を受け、食器の持つバックストーリーに興味を持ち、文系塾講師、洋食器輸入会社で勤務後、2016年1月~会員制料理教室「一期会」、2019年1月~高級食器リングサービス「カリーニョ」の運営を始める。
曾祖母は赤絵付けの原料となるベンガラ作りに関わっていたルーツを持つ。