食器において、特別な色たち

白い器は使い勝手が良くシンプル、その一方で絵が描かれたお皿やカップは、メーカーやデザイナーのセンスや遊び心を感じることができ、違った楽しみを味わうことができます。

器に絵柄がある場合、主に手描きか転写紙の技法を使って作られています。どちらか一方の時もあれば、二つの技法を併せて描かれることもあります。

転写紙はプリントした柄を器に貼り付けて高温で焼成するので、安定した色と数量を製造することができます。

一方、手描きの場合はペインターが一枚ずつ描くため、大量生産は難しく色や形にも微妙な違いが生まれます。

ハンガリーを代表する名窯「ヘレンド」(器×対談 カリーニョxヘレンドはこちらから

手描きで大事なのは色です。もちろん絵のモチーフも大切ですが、焼成したときの発色の美しさはその器の完成度合に大きくかかってきます。

手描きをしているときの色は、高い温度で焼成したときには全く異なった色になります。

たとえば金色。金色は焼く前は赤茶けた色をしているため金色ではないので、金で描いているといわれても「茶色だけれど・・」と思うことでしょう。

他の色も、仕上がりの色より少しくすんだ色で描かれ、それが高温で焼成されることにより、鮮やかに発色するのです。

どんな世界でもそうであるように、焼き物の世界でも金色は特別な色とされています。それではほかの色はどうでしょう。焼き物の色で一目置かれた存在なのが、青と赤です。

深い色の青色(瑠璃色)と赤色(マロン色)は王と女王と呼ばれるほど特別な色とされています。

ヘレンド村の博物館に展示されている、ヘレンドを代表するシリーズ「エルテルハージ」。どこか和を彷彿とさせる絶妙な色です。

なぜ特別な色と言われているのでしょう。それは、高価な原料を必要としており、発色が大変難しいからです。瑠璃色にはコバルトを使い、マロン色は美しい赤を出すために金に錫を混ぜて顔料を作ります。

なぜふつうの絵具や草木染の絵具ではいけないのか?それは700℃以上の高温で焼成した時にすべて燃えてしまうからです。そのため顔料は鉱物や金属をすりつぶしたものからできています。

次回の記事ではこの青と赤の色をもう少し追いかけたいと思います。

ちなみに。この顔料の素材や配合などは工房に代々受け継がれていた秘伝の顔料です。

工房によっては、限られたペインターにしかその配合割合を教えないというところもあるくらいなので、作り手にとってまさに色は命なのです。

高級洋食器メーカーにはそれぞれの青や赤の色を持っており、「ブルーを持たないメーカーは一流とはいえない」とまで言うほどです。

素晴らしい青を持つ代表的な陶磁器メーカーとして名をあげられるのは、フランスのセーブル窯と日本の大倉陶園です。

どちらの窯にも歴史と伝統があり、他の窯にも大きな影響を与えたメーカーですので、彼らについてもまた触れていきたいと思います。

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