陶磁器de読書会モンゴメリ『赤毛のアン』が終了しました

2020年2月7日、陶磁器de読書会モンゴメリ『赤毛のアン』@岡山(ポートベロ)が開催されました。

今回はやはり、というべきか、初心者はおらず、参加者全員が『赤毛のアン』ファンでした!
アニメはもちろんのこと、アンシリーズ読破者、世界名作劇場ファン、母子でアンファン、原書で読んだ方、映画を見ている方、アンが好きすぎて新婚旅行はカナダに行った方、果ては「バターカップ」会員(注:「バターカップ」とは赤毛のアンファンクラブです)まで!うわー・・・じ、実はわたくし、少女時代はアンチアンファンでありまして・・・しかも、『小公女セーラ』派だったのですね・・・ひえーっ、完全、アウェーでした・・・。

ということで、いつもならすぐに解説に入るところでありましたが、皆さま胸の奥底に貯めていらっしゃるアンへの熱烈な思いを、まずは冒頭でそれぞれ思いのたけをおしゃべりし合う時間としました。
皆さま、アンへの思いは歴が深いのでありますから、そりゃそりゃ盛り上がりましたよー。
皆さまがまず積年の想いを吐き出したところで、読書会の解説がスタートしました。

テキストは文春文庫松本侑子先生の新訳でした。(参加者の中には、松本先生の講演を聞き、サイン本を持っている方もいらっしゃって…皆さまのマニア度には脱帽です)
有名な村岡花子訳では「いちご水」が松本訳では「ラズベリー水(原書はラズベリーコーディアル)」、「ぶどう酒」が「カシス酒(原書はカラントワイン)」となっていたりなど、現代に即した訳になっているのですね。
そして有名な村岡花子訳との決定的な違い、それは全訳であること、そして全訳ゆえにある重要なシーンが、なぜ村岡訳では削除されているのかを徹底分析しました。

 

また、もちろん、この読書会の醍醐味の一つ目「文学的な読みどころ」も紹介しました。特に原題と邦題のコンセプトの違いには、皆さま納得していただけたのではないでしょうか。

また、作品に登場する重要小物としてはね、正直何を話そうかすごく悩んだのですけれども、1880年代のヴィクトリア時代の風俗を感じていただけるように、「レイヤーケーキ(ヴィクトリアサンドイッチケーキ)」「シダ」「パフスリーブ」「アーサー王伝説」「スコットランド移民」などにフォーカスを当てて紹介しました。(他にもたくさん小物紹介はありました)
「アーサー王伝説」では、「タイトルは知っていたけれど、なにそれ、そんな話なの!読みたくなるー!」との嬉しいお声。
さらに参加者さまから「今回の解説で、小さい頃から不思議に思っていた、アニメのマシューの登場シーンでバグパイプの曲が流れる謎が解けました!とてもスッキリしました」や、「アンソニーやアルバートさん(注:漫画「キャンディーキャンディー」より。私も大好きです)がバグパイプを吹いていた謎が分かった!」など、驚きの証言が。私も目からウロコ、でありました。

今回はもう、アンファンの皆さまの熱量と、アンチファンであった私を温かく迎え入れて下さった皆さまの懐の深さに、驚きと感動を隠さずにはいられない読書会でした。

当日のティーカップは、ロイヤルアルバートの「キャンディー」シリーズをチョイス。キャンディーは、参加者の皆様に譲り、私はノリタケのティーカップに。これも小薔薇がチンツになっており、とても愛らしい、赤毛のアンにふさわしいティーカップでした。

お茶タイムでは、共催者のアンティークハウス ポートベロの金森さんお手製のレモンケーキ。甘酸っぱさとレモン果汁のしっとりとした味わい深い、とてもおいしいケーキでした。

また、『赤毛のアン』で忘れてならない陶磁器と言えば、やはりカスパート家おもてなし用のティーセット「バラの蕾の小枝模様のティーカップ」でしょう!作品の舞台となるプリンスエドワード島のグリーン・ゲイブルズ・ハウスでは、フランスはリモージュの陶磁器メーカー「アビランド」の「モス・ローズ」が展示されています。

なぜアビランドなのか?もちろんその辺もお話ししました。
『赤毛のアン』は、「陶磁器de読書会」と冠する会にはうってつけのテーマでしたね。本当は、もっと私自身の研究を深めてから取り上げたいと思ってはいたのですが。まだ私自身この世界の発展途上の中で、『赤毛のアン』をして本当に良いのか、始める前はとても不安がありましたが(なにせ、日本にはアンの研究者が数多くいますから!岡山のノートルダム清心女子大にも第一人者の先生がいらっしゃって、何気に岡山はアンの研究が盛んなのです)実際にレジメを作っていきますと、ますます陶磁器周りの文化教養に深みが増し、本当に勉強になりました。
本当に、皆さまと共に学んだ『赤毛のアン』の読書会でした。ありがとうございました。

 

次回は、2020年5月15日㈮にスティーブンソン『ジキル博士とハイド氏』、ティーカップは、ノリタケの「イブニングマジェスティ」を予定しています。『宝島』でお馴染みスティーブンソンが生み出した、イギリスの19世紀末を代表するゴシック小説です。私が小学校5年生の時に読んだハラハラドキドキな懐かしの怪奇小説、いやー、今からすごく楽しみですね。

また近日中に募集のお知らせをいたしますので、皆さまどうぞご参加ください。

 

【このページの文章を書いた人】 玄馬 絵美子(げんば えみこ)

株式会社アリベ 取締役  / 薬剤師 カリーニョを運営する三姉妹の長女。薬局・病院で薬剤師として勤務後、現在、子育て中のアラフォー主婦。株式会社アリベでは受注・財務面、そしてカリーニョでは趣味で研究してきた古今東西の19世紀~20世紀初頭の文化・様式・芸術の世界を紹介するコラム執筆を担当。 【これまでの実績】 全国のMR経験薬剤師が作る転職応援サイト『MRファーマシスト』にてマネーコラム連載。 新聞の文芸欄掲載多数。掲載作品はこちら(個人ブログ「私の読書遍歴」)

 

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