【器×対談 第1回 ロブマイヤー編(4/5)】 芸術家とともに歩むロブマイヤー

カリーニョ代表 加納亜美子が、陶磁器やグラスに携わるお仕事をされている方々にインタビューし、陶磁器・グラス業界のリアルな声をお届けする対談コラム「器×対談~カリーニョと器を語り継ぐ~」

引き続き、ロブマイヤー日本総代理店 株式会社ロシナンテの部長・天野光太郎様との対談をご紹介しています。

今回もロブマイヤーの営業スタンス天野さん個人の想い入れのある器の話など、さまざまなエピソードをお聞きすることができました。

芸術家と共に歩むロブマイヤー

(加納)――洋食器の文献などを読んでいると、そのブランドの歴史が中心の文章が多いのですが、天野さんとお話していると、「ロブマイヤー」という一つのブランドの歴史だけではなく、ロブマイヤーがその時代のアートと非常にリンクしているという話題が多くて、それがとても興味深いです。

まさしく『応用美術』らしさというのが感じられて、今日だけでもロブマイヤーが芸術家と共に歩んできた歴史を感じることができています。

(天野さん)「うちの代表の志村(社長)も現代アートが好きで、向こうのロブマイヤーの社長さんも造詣が深い。なので、向こう(オーストリア)に行って話をする中でも、芸術的な話ができないと共通の意識を持てないんですね。

なので僕は前回、ヨハネス氏というシャンデリアの代表者と会った時には、僕は中世の水墨画が好きなので、そういう話をしたんですね。そうすると向こうは、時代のスピードの違いというような形で返事が返ってきて、そこからいろんな話で盛り上がりました。

美術でコミュニケーションが取れるということで、共通言語みたいな感じでお互いに(アートに対して)常に興味を持っていこう、という意識はありますね。」


(天野さんの話に思わず聞き入る加納…)

――それを聞いて思い出すのが、去年ロブマイヤーの書籍出版記念パーティの時に、志村社長が話されていたことで、志村社長が今から30年ほど前に(ウィーンの)ロブマイヤーサロンに初めて行った時、ロブマイヤーに対して「アートの匂いがする」と思われた、というエピソードです。

その言葉がすごく印象的でしたし、出版記念パーティから帰宅後、いただいた本を読むと、レオニード社長が志村社長に代理店をお願いするきっかけも、「志村社長がアートを分かっている方だったから」というようなことが書かれていました

まさしく天野さんのお話にあった「アートという共通言語で、コミュニケーションを取っていった」のだと…。
非常にロブマイヤーらしいなあと、今お話を聞きながら思いました。

「アートフェア(芸術の見本市)が、いろんなレベルで沢山ある上に、ファッションもある種のアート、歴史のあるものも、抽象的なものもアートなので、表現は難しいんですけれども、そういう感性を持った人が…そういうものを好きな人間が(商売を)やっていって、続けていきたいなと思っていますね。」

 

【MEMO】
※ロブマイヤー日本総代理店ロシナンテ監修『ロブマイヤーシャンデリアとグラスの世界』2018年,本阿弥書店,153頁


(2018年6月にオーストリア大使館で行われたロブマイヤー書籍出版記念パーティーで撮影。
写真1枚目:出版された書籍。
写真2枚目:オーストリア大使閣下、通訳さん、レオニード社長、志村社長、天野部長
写真3枚目:左から加納、志村社長)

 

ロブマイヤーのスタンスは「新作は、”いいものがあれば”作る」

――志村社長は現代アートがお好き、という話がありましたが、ロブマイヤーとしても現代アートのデザイナーの方とも仕事をして、作品を作ることもあるのですか?

「そうですね。新作というものは、毎年一つ二つ作っていますね。アーティストとコラボレーションも行っています。」

――毎年新作が出ているのですか。

「いわゆるファッションのように『次の春夏(コレクション) はこれですよ』というスタンスではなくて、いいものがあれば作っていくということですね。 」

 

量産できないからこそ、「丁寧に紹介すること」を大切にする

――「いいものがあれば作っていく」というスタンスには、あまり商売っ気を感じない気がします。セールスマンじゃないというか…。私が東京の(ロブマイヤー)サロンにお伺いする時も、天野さんも志村社長も、全然商品を紹介しないんですよね。「これおすすめですよ」とか、言わないですよね(笑)。

だいたい私が行くと、志村社長の旅先の思い出話とか、「アートは、いいんだよー」みたいなことを… (笑)、お茶を頂きながらお話するその時間というのが、すごく居心地が良くて…でも芸術品に囲まれた空間で、全然ロブマイヤーと関係のないお話をしていても、なぜか話せば話すほど「ロブマイヤーことが知りたい」という欲求に駆られてくるという…ある意味、商売上手だなと思ったりします(笑)。

本当のところ、営業してるんですか? (笑)

「よくそういう風に言われるんですが…手作りの良いものをお好きな方にご紹介する、ということや、多くの方に知っていただくということを常に考えていますね。」

――今回インタビューに協力してくれませんか?と提案した際も、志村社長が「インタビューって面白そうだから、天野さんやってみてよ」と(天野さんに)言われた時に、「でも商品の広告的なインタビューにならないようにして欲しい」っていうことをすぐにおっしゃっていたのが、とても印象的でした。それが、なんともロブマイヤーの品性を感じる言葉だなと…。

「手作りで、生産が量産できるものではないので、その辺は丁寧にご紹介していくということなんですよね。実際この(おススメする)ブルゴーニュグラスも、現在は入荷待ちで…。 NO.3(のグラス)は、今ならまだたくさんあるですが…。」

――え、そうなんですか?
去年は「No.3がおすすめですよ。でも今、入荷待ちなんです」って天野さんが言われていて、その時「在庫のないものをお勧めするなんて、売る気あるのかな?」って正直思っていましたよ(笑)。

「それでも今回は、これ(ブルゴーニュグラス)をお勧めしようと思っているんですけど…」

――でも、ない…。そんなのばっかりじゃないですか!(笑)
売る気があるのかどうか分からないところがあるんですが、とりあえず今はなくても、待てば来るということですよね(笑)」

【MEMO】

前回セミナー時のようす。2018年7月撮影。)

天野さんの器にまつわる思い出話

――これはロブマイヤーとは直接関係のない質問ですが、天野さんにとっての「食器にまつわる思い出話」と言いますか…「ロブマイヤーと関係なく、ブランドにも関係なく、思い出に残っている器は何ですか?」と聞かれた際に、パッと思い浮かぶ器はありますか?

「僕は、ヨーロッパで最も格が高いのは、『ニュンヘンブルグ』だと思うんですね。販売のスタンスは変わらないし、クオリティも落としていかないし、凛とした空気感とか、あの立ち位置というものはすごいなと思います。

モダンなものも随分作るんですよ。いろんなデザイナーと組んだり、ロブマイヤーとも組んだりもしますけど、動物のフィギュリン※2が特に面白いです。

ちょうどあの(東日本大震災の)震災の日(3月11日)がロブマイヤーサロンでニュンヘンブルグの紹介をやっていた日なのですね。そのこともあって、思い入れは非常にありますね。」

※『ニュンヘンブルク』…ニュンヘンブルグ城(ドイツ、ミュンヘン)にある磁器工房

※2『フィギュリン』…フィギュア、置物のこと

――それは特別な思い出ですね 。ちなみにその時、サロン内は大丈夫だったんですか?

「グラスの破損はありませんでした。ニュンヘンブルグの人形は倒れる物があったのですが、大半は無事で、大丈夫でしたよ。」

 

ニュンヘンブルグの関わりは、一人の行動力ある女性がきっかけ

――ニュンヘンブルグと初めて出会ったのは、何かきっかけが?

「加納さんのように、こういう付き合いみたいなのがあって。かなり行動力のある、ある女性がいて、この人がニュンヘンブルグ城に乗り込んでいって、言葉の壁を越えて、(ニュンヘンブルグを)紹介したいんだ!ということで話をつけてきて、(ニュンヘンブルグ側は)日本への紹介を彼女に託しました。

夢のある話ですよね。ニュンヘンブルグとしては『彼女を通して日本のマーケットに紹介しよう』 という気持ちになってくれたわけです。」

――すごいお話で…超一流の陶磁器メーカーの懐の深さですね。

「行動力というか、夢のある話ですよね。行動力と情熱ですね」

 

女性の方が、行動力がある…?

「僕は動物のフィギリンが結構好きなんですよね。動物のフィギュリンに関しては、ニュンヘンブルグは 他に類を見ないくらいのレベルの高さや、造形力があるんです。今回その冊子を持ってこようかなと思ったんだけど、忘れていました(笑)

今度、東京に来た時にお見せしますが、なかなか面白いものですよ。デザインも面白いし、リアリティもあるんだけれども、クラシカルな面もあるという…。アウガルテンや他メーカーにもいいフィギュアがたくさんありますが。」

――それは、是非見させていただきたいですね!
ところで私もどちらかと言うと、行動力があると言われるほうだと思います。天野さんも私に対して行動力があるね、ってよく言って下さいますが… 男性ってあんまり(行動)できないのですか?

「いわゆる普通のビジネスを何年かやってしまうと、形に縛られてしまうので。それに対するリスクだとか、売るための仕掛けとか考えてしまって、そうなってくるとできなくなるのでしょうね。」

――行動力という意味では、男性は家庭を守らないといけないこともあるので、女性のほうが動きやすいのかもしれないですよね。私、彼女の話に非常に刺激を受けて、なんだかテンションが上がりました!(笑)

(次回に続く)

 

<器×対談『カリーニョと器を語り継ぐ』> 第1回 ロブマイヤー編(全5話)

  1. ロブマイヤーとは「応用美術」
  2. ロブマイヤーの特徴とは?
  3. 「バロック調シャンデリア」の元祖はロブマイヤー
  4. 芸術家とともに歩むロブマイヤー(現在閲覧中)
  5. ロブマイヤーの願い

取材協力:
ロブマイヤー日本総代理店 株式会社ロシナンテ
http://www.lobmeyr-salon.ecnet.jp/

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