【器×対談 第1回 ロブマイヤー編(3/5)】 「バロック調シャンデリア」の元祖はロブマイヤー

カリーニョ代表 加納亜美子が、陶磁器やグラスに携わるお仕事をされている方々にインタビューし、陶磁器・グラス業界のリアルな声をお届けする対談コラム「器×対談~カリーニョと器を語り継ぐ~」

引き続き、ロブマイヤー日本総代理店 株式会社ロシナンテの部長・天野光太郎様との対談をご紹介しています。

今回はロブマイヤーのシャンデリアに関するお話です。

 

日本各地で見ることが出来るロブマイヤーシャンデリア

(加納)――日本でロブマイヤーのシャンデリアが見れる場所はありますか?

(天野さん)「福岡にあるアクロス福岡シンフォニーホールや、ホテルでいえば長野のホテル国際21長野のロビー。このあたりが有名で、最近では銀座のロテスリーレカンに『メトロポリタン』が入っています。

ロテスリーレカンは1階路面のお店なので、外からでもシャンデリアが見える環境で、『メトロポリタン』のために天井デザインまで工夫していただきました。」

【MEMO】

(ロテスリーレカンで使用されている『メトロポリタン』 写真:株式会社ロシナンテ)

――シャンデリアのために天井デザインを工夫する…それはすごいですね。

「ニューヨークにメトロポリタン歌劇場というのがあって、元はそこに設置したものです。とても大型のシャンデリアです。大きさはいろんなものがありますが、ロテスカリーレカンのものは直径170cmくらいです。」

――重さはどれくらいなのですか?

「そうですね、5~60 kg かな。建築家の先生が館全体のデザインをされていて、レストラン部分はそのシャンデリアでいこう、ということで、しつらえとかイスとか全てデザインを考えていただきました。」

 

個人宅でのロブマイヤーシャンデリア。コンセプトは「癒しのエレメント」

――個人のお家にも販売されていると思いますが、日本の個人宅にロブマイヤーのシャンデリアは合うものですか?

「確かに海外の住宅に比べると、天井高が若干低いという問題がありますが、居丈の高いデザインでなければ十分対応できますし、ロブマイヤーのシャンデリアは重さが軽いので、天井には負担をかけないシャンデリアではあります。
ガラスの光り方が柔らかいので、『癒しのエレメント』という表現の提案をお客様にはしています。」

【MEMO】

セミナー用に設置した『フローラルS』を撮影する参加者。2019年4月撮影。)

――私は、天野さんに以前ご紹介いただいた銀座のタベルナ・グスタヴィーノさんが個人的に大好きですが、あちらのお店では『ホフマン』のシャンデリアが使われていますよね。

【MEMO】

(タベルナ・グスタヴィーノで使用されている『ホフマン』 写真:株式会社ロシナンテ)

「オーストリアで有名なヨーゼフ・ホフマン(1870~1956)という建築家がいまして、その人はロブマイヤーのためにたくさんの作品を残しています。

『ホフマン』も、彼がデザインしたシャンデリアですね。ちょうどセセッションのクリムト※2と同じ時期の人で、アーツ&クラフツ運動※3や日本美術などの影響を受けていると言われています 」

※「セセッション」…Sezessionウィーン分離派のこと。世紀末芸術の中心的組織

※2「クリムト」…世紀末芸術を代表する画家。1862~1918

※3「アーツ&クラフツ運動」…産業革命の結果として、大量生産による安価で粗悪な商品であふれた時代(1880年代)に始まった、古き良き時代の熟練職人による質高い工芸品に回帰しようという運動。イギリスのウィリアム・モリス(1834年-1896年)が主導した。

――日本の家の話もありましたが、『ホフマン』だと和室にしつらえてもすごく相性が良さそうな感じですね。

「実際に和室に設置したこともあります。その方はすごく絵画の好きなお方で、絵画のある和室でしたよ。」

――『ホフマン』は、大正モダンな感じ。雰囲気出ていますよね。ちなみに、ヨーゼフ・ホフマンが活動していた時代は、何年ぐらいですか?

「20世紀始めで、モダニズム(近代主義)の先駆けぐらいの時代です。今回のセミナーのテーマにもなっている時代ですね。」

※大正時代は、1912~26年

 

「これぞロブマイヤー」な、ホテルザッハのシャンデリア

――シャンデリアのシリーズの中で、天野さんがお好きなものはありますか?

「個人的に好きなのは、ホテルザッハにある『ザッハ』という名前がついているものです。
電球を組み込んだシャンデリアというのは、実はロブマイヤーが最初に作っていて、そのスタイルに非常に近い形なのですね。

そのホテルザッハのメインダイニングに、さっき言った『ザッハ』のシャンデリアが吊られてあって、僕は好きですね。これぞロブマイヤー、という感じがします。」

【MEMO】
※「ホテルザッハ」…ザッハトルテの発祥でもあるウィーン最高級ホテル

(『ザッハ』。剣のモチーフが特徴的。 写真:株式会社ロシナンテ))

 

ロブマイヤーのシャンデリアの原型は、バロック調

シャンデリアはバロック調のものが非常に多いです。ロブマイヤーでは『マリアテレジア』という名前のものが代表作にありますが、 マリアテレジア※2の生きていた時代には、ロブマイヤーはまだないわけですよ。

だけど何で『マリアテレジア』っていうのを作っているかって言うと、マリアテレジアの時代のシャンデリアを継承して制作しているんですね。それが『マリアテレジア』という名前に。

いわゆるシャンデリアの原型みたいな形になっています。いろんなメーカーのバロック調シャンデリアの原型で使われていますよね。」

※バロックに関しては、こちらのコラムを参照
(関連記事:超簡単!ゴシックとバロックの見分け方 後編

※2「マリアテレジア」…オーストリアのハプスブルク家皇后(1717~1780)。マリーアントワネットの母。


(『マリアテレジア』。バロックタイプの典型的なシャンデリアで、宮廷文化の優雅さがしのばれる。
写真:株式会社ロシナンテ)

 

ロブマイヤーの商品が高いのには、理由がある

――今、現存している、手作りでシャンデリアを作れるメーカーとしては、ロブマイヤーだけなのですか?

「ロブマイヤーだけではないと思うんですが、シャンデリアの修復までやっているメーカーは、他には少ないんじゃないかと思います。」

――なるほど。ロブマイヤーの商品は、お値段が決して安いものではないですが、代々伝わっていけますから、それだけ払う価値はありますね。

「修理を担ったり、手作りもしてますから。外注して金属のパーツを取り寄せるのではなくて、 一つ一つのカーブ金属の部分まで工房で作っていきますので、お値段にはそれなりの理由はあるものだと思っています。」

 

(次回に続く)

 

<器×対談『カリーニョと器を語り継ぐ』> 第1回 ロブマイヤー編(全5話)

  1. ロブマイヤーとは「応用美術」
  2. ロブマイヤーの特徴とは?
  3. 「バロック調シャンデリア」の元祖はロブマイヤー(現在閲覧中)
  4. 芸術家とともに歩むロブマイヤー
  5. ロブマイヤーの願い

取材協力:
ロブマイヤー日本総代理店 株式会社ロシナンテ
http://www.lobmeyr-salon.ecnet.jp/

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