『洋食器を楽しむ本』-洋食器に興味を持ったら、まず読むことをお勧めする1冊-

ここ最近、目覚めてすぐの時間を「既読本を再読する時間」にまわしていましたが(※昨日の投稿参照)、その習慣にもだいぶ慣れてきたので、インプットするだけではなく、少しハードルをあげて、朝時間にアウトプットも行うようにしようと思います。

インプットとアウトプットのトレーニング。
新しく読む本はアウトプットに時間がかかるため、洋食器に興味を持ち始めてから読んだ…この約20年間に繰り返し何度も読んできた本のご紹介をしていこうと思います。

「毎日更新はできないかもしれない」と思っていた3週間の「ヨーロッパ陶磁器を巡る旅」でも毎日更新が達成できたので、今回も、まずは3週間(21日間)毎日更新を目標に…今日からスタート!

「洋食器のことを知りたかったら、まずは何を読んだらよいですか?」

私が受ける洋食器に関する質問で、実は一番多いものかもしれないのが、この質問です。その時に、真っ先に挙げるのが、今日ご紹介する『洋食器を楽しむ本』(今井秀紀著,晶文社,1999年)。
洋食器を好きな方で、もしまだ読んだことのない方がいらしたら、ぜひ今すぐにでもAmazonでお買い求めいただきたい、私が紹介する最初の一冊としては、この本以外はありえないくらい、非常におすすめの本です。

 

 

今から約20年前、当時のロイヤル・ドルトン・ジャパン(のちにフィスカース ジャパン株式会社)マーケティング本部長、今井秀紀さんの著書『洋食器を楽しむ本』は、私自身が洋食器の持つストーリー性(作られた時代背景や、作り手の想い)に夢中になるきっかけとなった、私にとっての「洋食器入門書」であり、とても思い入れのある本です。
ぐるなび 「ippin」紅茶もコーヒーも両方楽しみたい方に是非!ウェッジウッドの「リーシェイプ」より引用)

上記の引用文は、私がキュレーターを務めるぐるなび『ippin』に寄稿したコラムの一部です。
そう、この『洋食器を楽しむ本』というのは、だれよりも私自身が、この本をきっかけに洋食器のもつ秘められたロマンや歴史との繋がりに夢中になった…私の人生を変えたといっても過言ではないくらいの、それぐらい特別な本なのです。
(あまりに思い入れがありすぎて、思わず引用文と同じ内容を繰り返してしまった。笑)

私にとって、「食器好きになるきっかけ」となったのは父親、そして「食器を”学ぶ”楽しみを知るきっかけ」となったのが この本、なのです。

正直なところ、現在日本にある洋食器に関する教科書的入門書は、この本以外には存在しないと思っています(※私の完全なる主観です)。実際カリーニョをスタートする前には、一緒に運営している実姉2人にも、カリーニョの準備中に課題図書として購入し読んでもらいました。カリーニョでは、本当に教科書として使っているわけですね。

この「洋食器を楽しむ本」が、他に読んできた多くの洋食器に関する本と何が違うのかというと、それはこの本には書籍のタイトル通り、洋食器初心者の方が「食器ってこんなに楽しいのだ!」と感じることのできるエッセンスがたっぷり詰まっているところです。

そのエッセンスとは何か。
それは、一言でいえば「食器愛」。著者である今井さんご自身が、心から洋食器のことを愛しているのだな、というのが文面からひしひしと伝わってくるのです。アカデミックな専門書や、カタログ的な…形式ばった文章にはない、なんというか、人の気配を感じる、エネルギー溢れる文章で構成されているところに、他にはないこの本ならではの魅力を感じます。

実際にあとがきでも、この本の趣旨が「カタログのような紹介本ではなく、自分自身の経験にもとづいて、洋食器の魅力を語るもの」であり、歴史の部分を除いては、今井さんご自身の知識と経験に照らし合わせて、なるべく洋食器を使う側、選ぶ側にたってお話するように心がけたと述べられています。

『ある日、仕事で百貨店の洋食器売り場をまわっていたら、突然あるブランドのティーカップが目の中にとびこんできた。見慣れているはずのその柄が、なぜかその時どこか特別なものに見えた。

手のひらで包んでみた。すっぽりと収まる。口元に近づけてみた。ほんのりぬくもりすら感じる。取っ手を握ってみた。予想もしなかったほどバランスがいい。ライトにかざしてみた。光が透けて見える。カップの内側を見た。つるんとなめらかで、ライトの光がキラキラと反射している。真横からながめ、底をひっくり返し、しばらくの間興奮していじっていたが、どうしても欲しくなり、レジへ走った。

それが私の本当の洋食器入門だった。』
(今井秀紀著『洋食器を楽しむ本』昌文社、1999年、10頁-11頁)

この文章を初めて読んだとき、今井さんが感じたその場の出来事を疑似体験しているかのようなドキドキを味わいました。

言葉にエネルギーを感じて、読み手まで夢中になってしまう。専門書で難しく感じていた陶磁史(食器の歴史)に関する話も、当時 歴史嫌いだった私を歴史好きに転換させる(!)ほどに、「好き」という感情が持つエネルギーってすごいのだな、と思わずにはいられませんでした。
(ちなみに上記引用文で、今井さんが魅了されたカップ&ソーサーが何なのかは、私のぐるなび『ippin』コラムで紹介しています)

また当時、ロイヤルドルトンのマーケティング本部長を務めておられながらも、

「輸入メーカーは、便宜上、49ピースディナーセットだの、18ピースティーセットだの、ディナー皿・ケーキ皿・パン皿だのと名前をつけてお客様に売り込むが、これは大きなお世話である」
(14-15頁)

と言い切ってしまうところもカッコいいし、

「ボーンチャイナは、一般の硬質磁器にくらべて約2.5倍の強度があるのだ。昔、といっても20年くらい前のことだが、ボーンチャイナが日本で有名になり始めたころ、営業マンは商談中にわざとカップを手から落として、割れにくいということをデモンストレーションしていたという伝説がある。」
(42頁)

という、実際に洋食器業界に携われておられたからこそのエピソードも、非常にユニークで面白いです。

今朝再読して、改めて食器の魅力、実体験が語る言葉の説得力、そして何より「好き」というエネルギーが持つ影響力を感じずにはいられない、そんな良本だと思いました。

非常に残念なのは、こんなにも魅力的な本が、今は絶版となってしまっていること。もうamazonでも、中古(私が今みたところだと残り16冊)しかありません。あー、本当に残念!

 

【アミーゴの読書感想文】
1冊目:『洋食器を楽しむ本』(今井秀紀著,晶文社,1999年)


こんな人におすすめ:
洋食器に興味があっても、知識がないという方。
洋食器のことが全般的に知りたい方。
普段本を読み慣れていない方でもすんなり入ってくる文章です。

 

【このページの文章を書いた人】
加納亜美子(アミーゴ先生)

株式会社アリベ 代表取締役/『カリーニョ』代表 カリーニョを運営する三姉妹の末っ子。料理教室「一期会」を主宰し、洋食器輸入代理店でのセミナー講師、コラム執筆など多岐にわたり活動中。 通称:アミーゴ先生。これは、”世界中に沢山の友達が出来るような社交的な人になるように”と、父親が「アミーゴ(スペイン語で『友達』)から由来して名付けた「亜美子」にちなんだニックネーム。

 

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