『読んだら忘れない読書術』―読んだ本の内容を記憶するための一番良い方法とは

「月間(あるいは年間)で本100冊読むことが目標」

そんな言葉を目にすることがあります。
しかし、読み終わった100冊の内容を、この目標を掲げた人たちは覚えているのでしょうか。

覚えていない、つまり「記憶に残っていない」ということは、それは「知識」としてあなたの中に定着していないということ。もっといってしまえば、その読書は何の役にも立っていない、ということと同じなのです。
 
厳しいようですが、そんな「読んでも忘れてしまう読書」で年に100冊読んだとしても、ザルで水をすくうようなもので、時間の無駄です。
 
それでは「自己成長」に結びつくはずもなく、ただの「読んだつもり」になっているだけの「自己満足読書」にすぎないのです。
(『精神科医が教える 読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑著,サンマーク出版,2015年,2頁)

実は、冒頭の「目標」というのは、私自身が過去の自分に掲げたことのあるものです。
全く読書をする習慣のなかった自分に対して、「まずは読書する習慣をつけよう」という意味も込めて実際に月に100冊読んだことがありました。

しかしふと、「何のために読書をするのだろう」と考えたときに、「読書をすること自体が、目的になっていた」自分に気づきました。それと同時に、読み終えた100冊の本の内容を、自分が何一つ覚えていなかったことにも気づいたのです。

「既読本の再読を読書感想文にする」という習慣を始めて1週間が経ち、今日で8日目。
ずっと陶磁器に関係する本の再読を紹介してきましたが、今日は陶磁器ではなく、この「読書感想文を書こう」と思うきっかけになった本の紹介です。



『精神科医が教える 読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑著,サンマーク出版,2015年)

この本は、タイトル通り精神科医である樺沢紫苑氏が「読んだつもりにならない読書」をするためのコツを、分かりやすく解説している本です。

読んでみると、本の内容を記憶する「記憶術」というノウハウ部分は表面的なもので、実際は「インプット(読書)とアウトプット(情報発信)の重要性」さらに言えば、「文章力を鍛える必要性」についてを強く主張している本であることがわかります。

インターネットの時代では、「文章力」は絶対に不可欠な「仕事力」だといえます。
そして、「文章力」を鍛えるほとんど唯一の方法は、キングの言うように「たくさん読んで、たくさん書く」ことしかないのです。
(39頁)

“キング”というのは、『グリーン・マイル』などのヒット作で知られるアメリカの小説家スティーヴン・キングのこと。樺沢氏は、本を読む人と読まない人の決定的な違いは、「文章力」があるかどうかに表れるといい、キングが小説作法についてまとめた『書くことについて』(田村義進訳、小学館)の以下の文章を引用していました。

作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことが二つある。
たくさん読み、たくさん書くことだ。
私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない。
(37頁)

本を読まない。文章も書かない。それでいて、文章力を鍛える、なんてことは不可能なのです。
逆に言えば、文章力を鍛える方法は、インプットとアウトプットを繰り返すこと。そしてアウトプット(情報発信)を前提にインプット(読書)をすれば、本の内容が自分の言葉に落とし込むことができるようになるのです。

このインプットとアウトプットの重要性に関しては、さまざまな著名人も主張していることで、たとえば元ライブドア社長の堀江貴文氏が2015年3月に近畿大学の卒業式で話したスピーチでは、

これからの時代を生きていくためには、できるだけ多くの情報に触れること。
そして、そうやって仕入れた情報を、自分の頭で考えて、自分で発信して、頭の中を整理して自分で考える癖をつけていかなければならない。
それを行うために、ブログやSNSなどで情報を発信し続ける習慣を身につける必要がある

と学生たちに諭していました。

「何のために読書をするのだろう」

その答えは、その時々で違うと思います。
ある時は知識を得るため、ある時は娯楽のため、そしてある時は、自分の人生の舵取りとするため・・・。

そんな中で「自己満足読書」ではなく、なぜ本を読むのかという目的意識を持つことは、読書する上でとても大事なことだと思っています。

私は今、既読本の再読をしながら「毎日読書感想文を書く」ということを行っていますが、もし私のようにインプットとアウトプットのトレーニングがしたいという方には、ぜひ手にとって読んでいただきたい一冊です。

 

【アミーゴの読書感想文】
8冊目:『精神科医が教える 読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑著,サンマーク出版,2015年)

 

【このページの文章を書いた人】 加納亜美子(アミーゴ先生)

株式会社アリベ 代表取締役/『カリーニョ』代表 カリーニョを運営する三姉妹の末っ子。料理教室「一期会」を主宰し、洋食器輸入代理店でのセミナー講師、コラム執筆など多岐にわたり活動中。 通称:アミーゴ先生。これは、世界中に沢山の友達が出来るような社交的な人になるようにと、父親が「アミーゴ(スペイン語で『友達』)から由来して名付けた「亜美子」にちなんだニックネーム。

 

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