急に寒気(かんき)が入り、一気に冬の気配が近づいてきましたね。
いつもはひっそりと仙人のような暮らしをしている私も、久しぶりに街に出ればあれよ、とばかりにクリスマス一色になっていてびっくりしました。
そうです、本当に今年もあと1か月半。紅白歌合戦の出演者のニュースを聞いて、一気に年末の雰囲気が湧いてきました。何とも言えない、あの独特の空気ですね。
とりわけ、今年はベスト・オブ・クリスマスブック!ともいえる『クリスマス・キャロル』の読書会も企画していますから、がぜん自分の中では盛り上がってきました。そうなんです、イギリスではちょうど今頃、クリスマス・プティングの準備を始める時期ですからね。クリスマス・プディングというのは、読書会でも詳しくお話ししますが、イギリスの伝統的クリスマス菓子です。『クリスマス・キャロル』の舞台であるヴィクトリア時代は、クリスマスケーキではなく、プディングを食べていたのですね。
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今読書会レジメの最終調整をしているのですが、調べてみて、まあ面白いのなんの。一番初めて私がこの『クリスマス・キャロル』を読んだのは、小学5年生の時でしたが、その当時にはこの面白さがちっともわかりませんでした。無理もありません。これは、児童書ではないんです。原文は、聖書や引用の多い大人の小説なのです。そのため、意味深なセリフや、その奥に潜んでいる物語のテーマというのは非常に深いところがあり、子どもがそれを理解するのはなかなか大変だからです。
もちろん、現在は児童向け絵本・アニメ・映画の題材としても扱われるのは、単に主人公スクルージおじさんが改心して慈善に取り組むその様子のハッピーエンドさや、幽霊とのファンタスティックなふれあいシーンを愉しむためでもあります。それで充分だ、ということも、子どもに対してはいえるでしょう。
しかし、私は声を大にしていいたい。
それだけでは、もったいない!
いやはや、知れば知るほど面白いヴィクトリア時代の風俗、そして作品のテーマ。再読の楽しみをこれでもか、と味わっています。
スクルージおじさんが、過去のクリスマスの亡霊と共に、子ども時代の自分に出会うように、私も『クリスマス・キャロル』を読み返すことで、今、子ども時代の自分に出会っています。

さあ、皆さんもぜひこのとびきり素敵な小説に出会いましょう。
今日は、初めなぜ今回、テキストとして中川訳の集英社文庫を選んだのか(あえて、村岡花子訳の新潮文庫でないのか)、お話ししたかったのですが、ついついそれ以前の、『クリスマス・キャロル』の魅力についてお話ししました。当日の読書会では、いつも話したいことてんこ盛りだし、参加者の皆さんのお話しもとても面白いのでこういった些末な、そもそも論的なお話しはサラッとしかできないので、コラムにしました。
ぜひ、私と一緒にヴィクトリア時代のクリスマスにタイムスリップしてみましょう。場所は雰囲気100%のアンティークハウス ポートベロさんです。
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