ケ・セラ・セラ ドリス・デイの歌声は永遠に

ラジオから流れてきたドリスの美声
ブライアン・メイの心に響く追悼文

 

ラジオから、懐かしい「ケ・セラ・セラ」の歌が飛びだしてきました。

そうです。ドリス・デイが97歳で天寿を全うしたのです。

 

EMIKO
EMIKO

私は同世代のミレニアム世代にしては、映画マニアほどでないにしろ10代から20代前半にかけていわゆる往年の邦画・洋画をそれなりに観てきたと思います。黒澤作品、石原裕次郎や浅丘ルリ子などの日活映画、多くの麗しい往年女優のモノクロ洋画など…これらを青春期に受け入れたのは、今の私の血肉になっていると感じます。

ヒッチ・コック作品「知りすぎていた男(The Man Who Knew Too Much)」の挿入歌であるこの「ケ・セラ・セラ(Que Sera, Sera)」も私が大好きだった曲の一つ。

耳に残るケ・セラ・セラ(なるようになるさ)のフレーズは、誰しもが一度は耳にしたことがあることでしょう。

今回、ドリスの訃報を受けて、ポールマッカートニーなどが追悼文を寄せていますが、その中でもロック歌手のブライアン・メイのインスタグラム追悼文に私はひきつけられました。

 

グレイス・ケリーばりの美貌と美声を持ち合わせたドリス

今日、考えなくてはいけないことがたくさんあった。でも、この素晴らしい女性のことが一日中僕の頭から離れなかった。僕はドリス・デイを愛していた。特に、彼女が動物愛護を推進していることを知ってからは、一度でも会うことを願っていたが、それはかなわなかった。

いつだって、ドリスのことは完璧なシンガーだと心に刻んできた──いろいろとくすぶる思いがあったとしても、温かく、いつも笑っていた。

あの声!!! 優しくソフトで包み込みながらも、クライマックスに最高潮になるようにもっていく。彼女はその一番の瞬間に心血を注いでいた。彼女は僕の世代のシンガーではない。僕の親の世代だ。だから1970年代、好きなシンガーを問われるようになって、彼女の名を挙げると多くの人が眉をひそめて言ったもんだよ。

「ドリス・デイ?! 彼女はロック・シンガーじゃないよ!」って。そう、もちろん違う。でも、“Secret Love”を聴いてごらん。いつだって僕の一番のお気に入りだ。あの美しいトーンを聴き、あのパフォーマンスの中にある情熱を感じて。あの時代にはProTools(デジタル・レコーディングソフトの名称。音や声の編集をする)なんてなかったってことを思い出してほしい。当時はシングル・テイク(一発撮り)だったろう。彼女の正確さは画期的だ。彼女は史上最も完璧な音感を持つシンガーの1人に違いない。でも、それだけじゃない。彼女はメロディを乱すことも、才能ひけらかすために飾り立てるこもない。彼女は物語を伝える──心を込めて歌い、ちょっとしたカーブやバリエーションで彼女の思いを表現している。僕がドリスを褒め称えたのはもちろんこれが初めてじゃないけれど、でも今は、特別な時だからね。

彼女を愛する多くの人は、彼女を恋しがるだろう。でも、僕には、彼女が自分の信念に従いながら生き、97歳という年で天寿を全うしたんだと思っている。ここに彼女の美貌と栄躍をたたえ、謝意を表する。そして、彼女の次なる旅路に愛を送る。

 

I had a lot to think about today. But this wonderful lady was in my mind all day, even when my thoughts were turbulent. I loved DORIS DAY. Never met her – so often dreamed about it – especially when I discovered her work in her animal sanctuary. But never did. Sadly ? Yes, but in a way I’m glad I never bothered her. But I always held Doris in my heart as the perfect singer – all warmth, always smiling, yet smouldering beneath. That voice !!! Tender and soft and inviting, yet ready burst into joyous overdrive as she poured her heart into the big moments. She wasn’t my generation, of course. She was of my parents’ generation, and a lot of people raised their eyebrows when I named her as my favourite singer when we were first asked this kind of question around 1970. “Doris Day?! She’s not a rock singer !” No – of course not. But listen to “ Secret Love” – my all time favourite. Listen to the beauty of those tones, and feel the passion in that performance. And remember that in those days there was no ProTools. This would be a single take. Her accuracy is sensational – she must be one of the most perfectly-in-tune singers in history. But that’s only the beginning. She doesn’t mess with the melody, or decorate it to show off. She tells the story – sings it from the heart, and all kinds of tiny curves and variations portray the emotion she feels. This isn’t the first time I’ve eulogised about Doris, but this, of course, is a special time. So many people who loved her will miss her. But, for me, seeing her peacefully depart the world at the age of 97, having followed her heart all the way, I just rejoice in her beauty and splendour, and thank her. And send her love on her next journey. RIP Doris Day. Bri

原文のインスタグラムはこちら

 

この「彼女はメロディを乱すことも、才能ひけらかすために飾り立てるこもない。彼女は物語を伝える──心を込めて歌い、ちょっとしたカーブやバリエーションで彼女の思いを表現している。」がまさしくその通りで、思わず膝を打ちました。私は音楽には詳しくありませんが、彼女の奇をてらっていない表現であるのに、ドラマティックという絶妙なバランスが素晴らしい。

ケ・セラ・セラの歌詞は最高です。

子どもの頃に将来に対して思いを巡らし、親に質問していた自分が、気が付けば一人の親となり、かつて自分が問うた質問を息子に投げかけられる…この「世代の回遊性」といえるような現象は、今まさしく私自身の胸中であり、いつの時代にも通じる普遍的なテーマでもあるような気がします。

晩年はよりチャーミングなおばあちゃんに

私よりも若い世代の方々にも、ぜひ彼女の心揺さぶる歌声を語り継いで欲しいと思います。

 

【このページの文章を書いた人】 玄馬 絵美子(げんば えみこ)

株式会社アリベ 取締役  / 薬剤師 カリーニョを運営する三姉妹の長女。薬局・病院で薬剤師として勤務後、現在、子育て中のアラフォー主婦。株式会社アリベでは受注・財務面、そしてカリーニョでは趣味で研究してきた東西の19世紀末~20世紀初頭の文化・様式・芸術の世界を紹介するコラム執筆を担当。 【これまでの実績】 全国のMR経験薬剤師が作る転職応援サイト『MRファーマシスト』にてマネーコラム連載。 新聞の文芸欄掲載多数。掲載作品はこちら(個人ブログ「私の読書遍歴」)

 

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