ノートルダム寺院の火災 フランス象徴の喪失

復活祭(イースター)直前の悲劇

 

ショッキングなニュースが飛び込んできました。

パリ中心部のシテ島ノートルダム寺院で大規模な火災が起きたのです。
ニュースで一報を目にした私は、唖然としてしまい、とても現実のものとは思えませんでした。

 

コラムにも取り上げました「ブラタモリ」のパリ編で、その美しい姿をテレビで見たばかりです。

ゴシック建築の最高傑作とたたえられているその屹然(きつぜん)とした姿。上に上に真っすぐ伸びる天井高は、人間の持つ卑しい心をよせつけない、誇り高きゴシック精神を表現しています。(ゴシックについて知りたい方は、こちらのコラムへ)

1163年に着工し、約200年という果てしないような年月をかけて完成したという壮大な建物は、何世紀もの人々の思いを、気高く、しかし同時に優しく受け止めてきた「フランスの歴史と1000年間の人々の思い」そのものでもあります。

私は訪れたことはありませんでしたが、建築物が子供のころから大好きな私としては、もしパリに行くことがあれば、絶対に観に行きたい建築物の一つでした。

 

幸い、寺院が所蔵していた重要な文化財や、正面のバラのステンドグラス(バラは聖母マリアの象徴です)などは無事だったらしいですが、それでも2度の世界大戦を潜り抜けて1000年近く現存していた建物の喪失は、フランス国民及び全世界の人々に衝撃を与えました。私も間違いなくその一人です。

 

当たり前にあることは、実は当たり前ではない。

ノートルダム寺院の火災は、私たちに「明日が今日の様に当たり前にあるとは限らない」という根本的なことを教えてくれました。

 

ヘレンケラーがThe Atlantic Monthlyに寄せた「Three days to see」(3日間だけ見えたら)を思い出しました。

「どうかみなさん、明日は眼が見えないかもしれない、明日は耳が聞こえないかもしれない、明日は二度と匂いを嗅げないかもしれない、明日は二度と触れられないかもしれない、そういう気持ちで過ごしてください。この世には素晴らしいもので溢れているのですから」

I who am blind can give one hint to those who see — one admonition to those who would make full use of the gift of sight: Use your eyes as if tomorrow you would be stricken blind. And the same method can be applied to the other senses. Hear the music of voices, the song of a bird, the mighty strains of an orchestra, as if you would be stricken deaf tomorrow. Touch each object you want to touch as if tomorrow your tactile sense would fail. Smell the perfume of flowers, taste with relish each morsel, as if tomorrow you could never smell and taste again. Make the most of every sense; glory in all the facets of pleasure and beauty which the world reveals to you through the several means of contact which Nature provides. But of all the senses, I am sure that sight must be the most delightful.

(全文はThe Atlantic online公式ホームページより)

 

1000年続いたことも、たった一日の火災で一瞬にしてもろくも失います。

当たり前にある日々のことに感謝しながら生きることの大切さを、今回の事件で改めて思いました。

一日も早いパリの象徴復活を祈っています。

 

【このページの文章を書いた人】 玄馬 絵美子(げんば えみこ)

株式会社アリベ 取締役 / マネーリテラシーアドバイザー / 薬剤師 カリーニョを運営する三姉妹の長女。薬局・病院で薬剤師として勤務後、現在、子育て中のアラフォー主婦。株式会社アリベでは受注・財務面、そしてカリーニョでは趣味で研究してきた古今東西の19世紀末~20世紀初頭の文化・様式・芸術の世界を紹介するコラム執筆を担当。 【これまでの実績】 全国のMR経験薬剤師が作る転職応援サイト『MRファーマシスト』にてマネーコラム連載。 新聞の文芸欄掲載多数。掲載作品はこちら(個人ブログ「私の読書遍歴」)

 

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