いわむらかずお 『14ひきのあさごはん』清爽の食卓

私がこどもの頃に読んだ絵本の中で、一番好きだったのはいわむらかずおさんの『14ひきのあさごはん』です。ベストセラーの絵本なので、ご存知の方も多いはず。
私にとっては、亡き祖母との思い出の絵本でもあります。

 

幼児時代、祖母が読み聞かせてくれたこの絵本。

この本の思い出を思い浮かべたとき、阪神大震災で失われてしまった祖父母宅の大きなダイニングテーブルが午後のやわらかな日のもとに照らされ、祖母と二人きりで絵本の中の世界にうっとりと共に入り込んでしまったシーンが、一枚の絵のように思い出されます。

 

森にすむ小さな14匹のねずみたちが、朝起きて全員であさごはんをこしらえるまでのほのぼのとしたお話です。それの何が良いかといわれたら、小さなねずみたちと数々の小物が何とも愛らしく描かれていて、まるでおままごとの世界だということ。ジブリの「トトロ」がその世界観に入り込んでしまって、あたかも実在するかのような錯覚に陥るような、そんなリアリティのあるのが魅力です。食べ物が心底おいしそうなところも、よく似ていますね。

いわむらかずおの14ひきのシリーズは他にもありますが、ページをめくるたびに場面が変わり、色調も変わっていく、一番カラフルな作品です。

 

あさごはんのメニューです。

・ドングリの粉でつくったパン

・野イチゴ

・野イチゴジュース

・野イチゴジャム

・キノコ入りクリームスープ

・温かいお茶

サイコーですね。

木の幹にたくさんの家具がちゃんとしつらえてあるネズミたちの小さなおうち。小川から引いた清涼な水で顔を洗う子供ネズミたち。トンボやチョウチョ、カブトムシやカエルなどの小さな生き物たち。揺れるホタルブクロにかまどの火。木と竹でできた小さな食器の数々…。

初夏の爽やかな、それでいて食卓を囲むどこか郷愁を感じる家族の姿。

「みんなで つくった あさごはん。14ひきの あたらしい いちにちの はじまり。」

ページをめくるたび、その世界に引き込まれてしまうとっても素敵な物語です。

 

【このページの文章を書いた人】 玄馬 絵美子(げんば えみこ)

株式会社アリベ 取締役 / マネーリテラシーアドバイザー / 薬剤師 カリーニョを運営する三姉妹の長女。薬局・病院で薬剤師として勤務後、現在、子育て中のアラフォー主婦。株式会社アリベでは受注・財務面、そしてカリーニョでは趣味で研究してきた古今東西の19世紀末~20世紀初頭の文化・様式・芸術の世界を紹介するコラム執筆を担当。
【これまでの実績】 全国のMR経験薬剤師が作る転職応援サイト『MRファーマシスト』にてマネーコラム連載。
新聞の文芸欄掲載多数。掲載作品はこちら

 

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