ロイヤルウースターがジャポニスムの作品を多く作っている理由

こんにちは。カリーニョの加納です。
今週は東京のよみうりカルチャー恵比寿さんで、水曜日は「初心者のための洋食器講座(ロイヤルウースター編)」、木曜日は「美術様式と食器デザイン(アールヌーヴォー・アールデコ編)」を開講しました。ご受講くださった皆様、本当に有難うございました!

コロナ禍がなかなか落ち着かない中での開催ですが、会場のよみうりカルチャー恵比寿さんでは、引き続き座席数を減らしたり、講座開始前後のアルコール除菌の徹底をしたりなど、できる限りの対策を行ってくださっています。

私としても引き続き、政府が行う政策のなかに「スクール業の休業要請」が含まれない限りは、最大限の対策を行ったうえで開催を続けていけたらと思っています。

ちなみに今回のロイヤルウースター編では、今月から渋谷の松涛美術館で開講される「デミタスカップの愉しみ」展でも数点展示されている、ロイヤルウースターの薩摩写しやジャポニスムの影響を受けた食器デザインのお話をしました。

日本は1868年から明治時代に突入しますが、開国をした日本は海外の状況を知るために、1871年から1873年にかけて、岩倉具視(いわくらともみ)をリーダーに「岩倉使節団」と呼ばれるチームをアメリカやヨーロッパ諸国に派遣します。

彼らの行動は、海外の視察だけにとどまらず、実は1870年代前半からジャポニスムのテーブルウェア(食器類)が急増するきっかけをつくったともいわれています。たとえばイギリスにおいても、岩倉使節団は1872年にイギリス・バーミンガムに約1週間滞在。そのときに少し足を延ばしてウースターにも行ったという記録が残っています。

(岩倉使節団。中央がリーダーの岩倉具視。)

岩倉使節団を案内したロイヤルウースターの当時の支配人・リチャード・ウィリアム・ビンズは、すでにブームの兆しを見せていた日本美術に魅了されていて、自社の製品に応用することに熱心でした。そして日本に関する様々な書籍や文献を可能な限り蒐集。それをもとに、ロイヤル・ウースター社のジャポニスム作品が数多く誕生していったのです。

彼が素晴らしいのは、それらの資料を自分たちだけのものにせず、広く一般公開していたこと。そのために近隣の工房も日本の資料を参考にして、当時ヨーロッパの人々が熱狂していたジャポニスムのデザインを数多く制作することができました。

先述の「デミタスカップの愉しみ展」では、ジャポニスムの影響を受けたイギリス製のデミタスカップが数多く展示されています。ぜひその時に、岩倉使節団のエピソードを思い出していただけると嬉しいです*

そしてこの「デミタスカップの愉しみ展」ですが、今回よみうりカルチャー恵比寿の担当者の方と相談をしまして、10月6日に実際に受講者の皆様とツアー的な感覚で訪問することになりました。

もちろん、こんなご時世ですので、団体行動は最小限に控え、現地集合・現地解散、基本的には館内はバラバラでの行動、観賞前後に広々とした空間で情報シェアやフィードバックなどを行い、開講日も、事前予約が可能な会期最終週に決めました。

もし10月にそういった野外講座が開講できない場合も、この月はいつもとは違った形で講座を開講してみたいと考えています。

よみうりカルチャー恵比寿さんでの「初心者のための洋食器講座」10月期の申し込みは、本日(8月20日)からスタートしています。人数をかなり制限しての開講のため、定員は残りわずかとなっています。もし興味のある方はお早めにお申し込みくださいませ*

講座の詳細・お申し込みはコチラ

ちなみに木曜日の「美術様式と食器デザイン」では、受講者の方が今回のテーマに沿って、ヨーゼフホフマンがデザインした「デコ・ヴィエナ」と、フランツ・フォン・チューロウがデザインした「ジュネス」(どちらもアウガルテン)をご持参くださいました!

(写真左奥が「デコ・ヴィエナ」、右が「ジュネス」。どちらもアールデコの特徴が反映されたデザインです)

今日ご紹介したロイヤルウースターの支配人の話も然り、こうやって資料や教材が多くなることは、知識を深めるためには大変ありがたいことです。ご持参くださったGさん、本当に有難うございました*

この記事を書いた人

編集部

カリーニョ編集部による記事です